

福島大学での留学生活は、私にとって学びの場であると同時に、日本という国を"暮らしながら体験する"貴重な時間でもありました。日本に来るまでは、「留学=勉強」というイメージが強かったのですが、実際の生活はそれだけではなく、日常の中に新鮮な発見と感動がたくさん詰まっていました。
最初の数週間は新しい環境に慣れることで精一杯でしたが、少しずつ日本の生活に慣れてくると、私は福島の街を歩くことが楽しくなりました。静かで落ち着いた雰囲気、自然と都市がちょうどよく共存している点が、とても心地よく感じられました。自転車で近所を散策したり、バスに乗って温泉地まで足を伸ばしたりする中で、「日本で暮らしている」という実感が少しずつ深まっていきました。
私が福島で特に楽しみにしていたのは、食べ歩きです。日本には地域ごとに特色ある料理があり、福島も例外ではありません。ラーメンの種類が豊富で、味噌ラーメン、塩ラーメン、喜多方ラーメンなど、さまざまな味を楽しむことができました。私はそれぞれのお店の特徴をメモしながら、自分だけの「美食マップ」を作るようになりました。特にお気に入りは、大学近くの昔ながらのラーメン屋さんで、優しい味のスープと手打ちの麺が忘れられません。
また、友人と一緒に居酒屋やカフェにも行きました。日本の食文化は「季節感」がとても大切にされており、春には桜のスイーツ、秋には栗やさつまいもを使ったメニューが登場します。こうした季節の変化を食事で感じることができ、日本の文化の奥深さを改めて実感しました。
休みの日には、少し遠くまで出かけて旅行を楽しみました。仙台や大阪などの都市にも足を運びましたが、それぞれの街に異なる雰囲気があり、どこも魅力的でした。大阪ではたこ焼きを食べたり、にぎやかな商店街を歩いたりして、まるで日本のドラマの中に入ったような気分になりました。仙台では歴史的な建造物を見学し、東北地方の文化についても学ぶことができました。
旅先では日本人の方々と交流する機会も多くありました。駅で道を尋ねたとき、丁寧に案内してくださった年配の女性や、電車で隣になった方と自然に会話が始まったことなど、小さな出来事が今でも印象に残っています。言葉が完璧でなくても、相手が親切に耳を傾けてくれることで、コミュニケーションの壁が少しずつ低くなっていくのを感じました。
福島にいる間、私は競馬場にも何度か行きました。日本の競馬場はとても整備されていて、家族連れや年配の方など、幅広い世代の人々がレースを楽しんでいる様子が印象的でした。ギャンブルというよりも、週末のレジャーとしての競馬文化を知ることができたのは、とても興味深い体験でした。
また、福島大学では学内イベントも多くあり、地域の方々との交流を通じて、より深く福島を知ることができました。地元の農産物を紹介するフェスティバルや、学生主催の国際交流イベントに参加する中で、日本人学生だけでなく、他の国から来た留学生ともつながることができました。お互いの文化について紹介し合ったり、一緒に料理を作ったりする中で、国籍や言語の違いを越えた友情が生まれました。
このように、福島での生活は、教室の中だけでは得られない"生きた経験"の連続でした。日本人の優しさ、美しい自然、おいしい食べ物、そして異文化の中で自分を表現する楽しさ──どれもが私の人生の中でかけがえのない思い出になりました。
留学というと、"勉強"という側面が強調されがちですが、実際にはそれ以上の価値があると私は感じています。言葉に不安があっても、最初はうまくいかなくても、自分から一歩踏み出せば、世界は広がります。これから福島大学に留学を考えている方には、ぜひ積極的に外に出て、日本という国の魅力をたくさん発見してほしいと思います。