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留学体験記

【中国】留学報告書①

【派遣先】河北大学 【留学期間】平成27年3月~平成28年2月
人間発達文化学類 T.Kさん

前置き 交換留学の範囲はどこまで

帰国後、福島大学からの河北大学への同期交換留学生の友人との会話から考えたこと

 2016年2月10日、日本に帰国。その後2か月間弱を千葉の実家で過ごし、4月の初めに福島大学近くのアパートに引っ越してきた。交換留学で進学が1年遅れての大学3年生の準備や、この1年間で趣味が変わり、部分的ではあるがレトロな雰囲気のある家具に新調し、ガラリと模様替えをした新しい借り部屋の後片付けしながら、つい先日、約束をしていた旧友と一緒にお酒を飲むことがかなった。


保定市の様子

 彼は同時期に同じ福島大学から河北大学へ交換留学をした、同年齢の学生だ。彼は2月1日に先に帰国をしていて、会わなかった期間はたった2か月ほどだが、新しく琥珀柄のロイド眼鏡に買い替え、流行りのチェスターコートを新調し、長くなって目によくかかっていた前髪も綺麗に整えられており、つい最近まで中国の保定市にいたような名残が全く無く、都会風のオシャレな普通の大学生に様変わりしていた。身分だけで言えば私と彼の間には共通点ばかりだが、出で立ちや性格は綺麗な正反対で、彼が長身で細身のすらっとした体形で小顔であるのに対し、私はどこぞの動物園から脱走したゴリラが服を見繕って人に扮装しているような体格で、おまけに顔もごつかった。また彼が比較的内向的で、調和を重んじるタイプであるのに対し、私は危なっかしいくらいガツガツとした活動型で、むしろ調和を乱すトラブルを起こす側だった。さらに付け加えるなら好きな女性のタイプすら真逆な二人が、留学生活が始まってすぐに全面協力ができるはずもなく、反りが合わないことの方が多かった。それも半年もすれば、折り合いのつけかたを学べるようになり、今ではお互いが長所を尊重し合えるようになっている。

 酒を交わしながら、帰国した後にどんな生活を送っていたかと話に花を咲かせた。お互いこれから日本の大学生活に戻らなければいけないことを念頭に置きながらに、留学の1年間の経験を少しでもうまく活かそうと、既に新しいことへの挑戦を始めていた。やがて話題は思い出話へと移り、今回の報告書の内容になった。彼は既に報告書を仕上げて提出しており、対し私は報告書に書きたい内容の整理がつかず、事実1文字も書き出せずにいた。

 私は彼に報告書に書く予定の内容を簡単にリストアップしたメモを渡し、二人でその内容を確認することになった。性格の違いのため、過ごした留学生活は二人ともほとんど違うものだった。交流した人も違えば、空いている時間に何をしながら過ごしたか、何を勉強したかも違う。だが彼とは以前にも留学中に度々それまでに得た経験について意見交換をすることがあったため、お互い何をして過ごしていたかは大体把握しており、リストの確認はスムーズに進んだ。

 彼がリストを確認していく中で、1つ気になった点があった。それは日中関係について報告書に盛り込むことだった。彼が言うには「留学生活で日中関係がそこまで気にならない」ということだった。

 確かに彼の言い分は正しかった。本報告書の留学生の授業の項目でも触れるが、交換留学生は午前中に中国語の授業を受け、午後はフリーというスケジュールだ。そのため、中国の学生と交流するなら、主にこの午後の時間を活用することになる。また交流する中国の学生もタイプが限られており、日本語を勉強している学生か、外国人向けの中国語教育を勉強している学生だ。つまり留学生活のスケジュールがそもそも日中関係の影響を受けない安全な領域内にあるため、普通に留学生活を送るだけなら日中関係の問題に巻き込まれることなんて無いのだ。

 このような環境で、私はその枠を出て一般の中国の学生、地元の人と交流するようにしていた。理由は生の日中関係の状況を肌で感じたかったからだ。そもそも日本に興味が無い、或いは日本が嫌いという人がわざわざ日本人留学生のところに近づいてい来るわけもなく、簡単に友好関係を作りやすい人は親日に決まっているからだ。そのため、私は他の日本人留学生から見たらわざわざと言いたくなるような人たちと交流することが多かった。

 日中関係以外にも、後に詳しく記述するが、私が交換留学の1年間でしてきた活動は、交換留学生の本分を離れて興味本位でやってきたところが多い。中国への交換留学生の一番の目的は語学の修得であるが、私は語学の修得はあくまでサブで、現地でしかできないことを好きなだけやるということがメインであった。活動は授業枠外でやることがほとんどで、心が折れたこともある。

 これから中国への交換留学を考えてこの報告書を読む学生もいると思う。そのため、ここで強く確認しておきたいことがある。交換留学生活の過ごし方は、その与えられた機会に感謝して有効的に使うと考えているなら、各個人が決めることで自由だと私は思う。なので、この報告書はこれから交換留学をする人へプレッシャーを与えるものでは決してない。比較的イレギュラーな過ごし方をした人の経験談だと思って読んでいただけるとありがたい。この報告書の内容を真に受けず、ちょっとした読み物のような感覚で捉えてもらえると、制作した側としても気楽で嬉しい。



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