国立大学で、学部は複数あり、総合大学のような位置づけ。キャンパスは2つあり、通称本部と新校区と呼ばれる。両キャンパス間は公共バスで移動し、所要時間は交通状況で大きく左右されて15~30分かかる。図書館は両キャンパスに設置されており、カフェ・食堂・コンビニ有り。それぞれのキャンパスで授業が行われる学部も異なる。日本語学科のある外語学院は新校区にあり、留学生寮は本部にある。残念ながら両学生の.交流は距離的に手間がかかってしまう。
日本の大学と異なり、近くに学生のアパート・マンションはない。そのため中国の学生はみんな寮に入るか、実家から通うしかない。寮はほどんどは6~8人住みである。(1部屋に2段ベッドが3~4個)
新校区のキャンパス内に工商学院という建物があるが、こちらだけは私立大学となっているため、他の学部とは別扱いになっている。なお、工商学院にも日本語学科は存在する。
保定市はまさに大陸性気候というような気候で、一日の気温差がとにかく激しい。日によって大きくブレがあるが、大体10℃以上の気温差がある。また、一年を通しての気温差も大きく、私が留学中の時は夏には40℃以上、冬には-19℃になることもあった。湿度は一年を通して低く、洗濯物を干したら3時間もすれば乾くほどだ。この湿度の低さもあって、夏は気温こそ高いが幾分かは過ごしやすい。逆に冬は寒さと乾燥の最悪の組み合わせで、厚手のコートを着ていても、まるで下着の裏に保冷剤をびっしりと詰めているような寒さがずっと続く。また春と秋は気温が安定しない時期で、毎日真夏と真冬の天気が入れ替わりでやってくる。
この気温差のため、衣類の調節がかなり難しい。例えば、朝は過ごしやすい暖かい気温で半袖のシャツが丁度いいくらいだとしても、大体午後3時を過ぎると急に気温が落ち始め、長袖シャツに1枚アウターを羽織ってもうすら寒くなる。また、日ごとに気温が違えば、昨日来ていたような服は今日では厚すぎる、薄すぎるということも珍しくない。
この気温差に対応するために、出来れば色々な厚さ・種類の衣服を用意しておきたいが、残念ながら中国の衣類は日本よりも2倍ほど高い。
中国では、ブランド物の値段は顕著に高くなっている。具体的な例を挙げると、H&Mやユニクロ製品のシャツは、日本だったら1000円くらいのものが中国では当時の為替レートで2000円くらいする。一回の食事で換算すると日本が一食500円くらいと考えると、食事2回分でシャツが買えるのに対し、中国では保定市の物価で一回の食事を少し贅沢に300円くらいとすると、6,7回分の食事の料金でシャツが買えるのだ。
もちろん手ごろな値段で買える服もあるが、それらは大概品質がかなり低い。これらの服の入手経路は格安スーパーと通販の2つがある。格安スーパーなら一枚600~1000円くらいでシャツを買うことが出来る。ただしここで買える服は生地が薄かったり、肌触りが悪いものが多い。また、日本でいう幼児~小学生向けのTシャツについているプリントを、より独創的にしたようなイラストがどの衣服にもついており、シンプルなデザインが好きな人、服のデザインにこだわる人はここでお気に入りの服を見つけるのは難しい。中国では通販ビジネスがかなり発展していて、中国の若年層は通販で買い物することが多い。こちらでは豊富なデザインの衣服が販売されているため、自分の好みにあった服を選ぶことができる。また値段もかなり安価で、先述した格安スーパーよりも服を安く手に入れることができる。ただ、やはり服自体の品質は良くない。さらに通販で注文した服と実際に届いた服の色やデザインが異なっていたり、最悪サイズが違って着られないというトラブルも少なくない。
これらを考慮すると、一番いいのは留学に行く際に出来るだけ多く服を持っていくことだと思う。ただ、中国への荷物は最大量の制限があるため、そこまで多くの服を持っていくことは出来ない。そこで各シーズンに対応した服を2着ずつ、厚手のコートを1着持っていくくらいがちょうどいいと思われる。特に冬場の寒さを乗り切る必要があるため、冬は服を何枚も重ね着して寒さをしのぐ必要がある。もし可能なら、EMSや船便等で衣服を日本から中国へ追加で送ることが出来ればなお良い。また、衣服を何回も着回しするので消耗が激しい。そのため留学に持っていく服は新品のお気に入りのものを持っていかず、ある程度使いふるされて、現地で帰り際に捨ててもいいような服のほうがいい。幸い、現地の大学のオシャレ事情として、ファッションにこだわっている中国の学生は日本より少ない。個人的に固いポリシーが無ければ、1年くらいと見た目を捨てて、機能重視で服を持って行ってもいいかもしれない。
保定市で食事をする場所と手段はいくつかあり、分けると留学生寮の食堂、一般中国学生の食堂、屋台、通りの大衆食堂、レストラン、コンビニ、自炊がある。それぞれついて説明する。
① 留学生寮の食堂
② 一般中国学生の食堂
③ 屋台
④ 通りの大衆食堂
盖饭
⑤ レストラン
⑥ コンビニ
⑦ 自炊
留学生寮は3つあり、日本人が住むことができる寮はホテルも兼ねているため、1~4階は一般の利用客が泊まっている。部屋は全て二人一部屋で、ルームメイトを交換すれば男女で住むこともできる。室内にはシャワー、トイレ、テレビがあるが、どの部屋もどこかしらに故障があり、室内設備が完備しているということはほぼ無い。二人部屋なので、違う国の留学生とも一緒に住むことができるが、大体は宗教上の理由、言語の都合、同族意識から同じ国、あるいは周辺国の人と一緒に住むことが多い。あいにく日本語は日本特有の言語であり、島国で隣接国もいないため、ルームメイトに空きがあるという他国の留学生くらいしかルームメイトになることが出来ない。こればっかりは運であるため、交換留学に来れば必ず他国の留学生とルームシェア出来るというわけではない。
それぞれの部屋に係員が住んでおり、日中は一般の寮の係員、夜はアルバイトで係員をする中国人の学生が住んでいる。寮内でトラブルがあった際には、この係員が対応するのだが、学生の方は国際理解があるわけでもなく、マニュアル型や規則の絶対遵守を述べて高圧的な対応をすることも多く、留学生から反感をかうことも少なくない。また部屋の壁が薄いため、音漏れが多い。中にはかなり神経質な留学生がおり、物音が聞こえてはその部屋の扉を蹴り飛ばし、怒鳴りつけるということも頻繁に起きている。国際交流センターや学生係員は寮は公共の場であるからと、むしろこの学生を擁護したため、その寮にすむ約半分の学生が学生係員のいる部屋に集まり抗議活動をするということも数回あった。その後、国際交流センターはこれらの学生に奨学金を停止すると告知を出し、以降抗議活動は起きていない。この事件は規則と個人の意思のどちらを大事にするかという中国の学生と他国の学生の価値観の違いがはっきり見て取れたため、興味深いものとなった。
保定市は平地のため、見渡す限りだと山は存在しない。また道路はコンクリートで舗装されている。その影響もあってか、大学周辺で昆虫を見かけることはほとんどない。この留学中ではアリすら一匹も見たことが無かった。ただしゴキブリ・蚊ば大量に生息していて、寮の部屋ではよく見かけられる。昆虫に対し、野鳥は多種多様に生息していて、日本で見無いような独特で綺麗な野鳥をみることができる。保定市に限らず、中国は公園の数も多く、その規模も大きい。完全な天然ものというわけではないが、公園の敷地内には木々が植えられて、川も流れているため、散歩に出かければそれなりに自然を感じることができる。
自然環境は充実しているが、対してゴミや病気等の衛生環境や大気汚染は深刻である。前述の食事の項目で屋台の話をしたが、調理等で出たゴミを処理しておらず、散らかった野菜くずなどをそのまま地面に放置している。屋台のゴミ以外でも、ポイ捨てされたゴミは道端にいくつも転がっており、日本と比較すると歩道が散らかっている。また大気汚染に関しては、保定市は中国の中でもPM2.5の数値が非常に高いところだ。特に秋から冬になるにつれて空気汚染はひどくなり、PM2.5のメーターが振り切ることもある。私の留学中では、PM2.5の観測量が900を超える日もあった。保定市の空気の悪さは、例えばマスクをして数時間で歩けば黒ずむほどで、もちろん人体への呼吸器官への悪影響もある。保定市出身の友人の中には、ぜんそくのような症状を訴えるひともおり、「保定の空気はタbコよりも悪い」と冗談が言われるほどの状況だ。他地域ではPM2.5が高い日には学校を休みにしたりなどしているが、保定市の場合は秋~冬は毎日PM2.5の数値が高いため、そのような政策もとられていない。あまりにも数値が高い日には車の走行制限をかけたりするが、現状として大気汚染問題は改善されていない。
大学周辺の道路。時期によっては通行量はこの2倍以上になる。
大学前の歩道の様子。よく見ると葉の上にほこりがびっしりたまっている。