現地の治安は日本と比べれば悪い。ただし、余程のことがなければ生命に関わるようなことは無く、多いのはスリ・自転車泥棒、白タク、詐欺だ。
中国で一番多い犯罪。良く狙われるのは携帯である。特にアップル製品は高価であるため、非常に狙われやすい。携帯は必ずバック(できればトートバック)に入れて、バックの口をいつも腕でおさえとくなどして、スリに合わないように気を付ける必要がある。そして次に多いのが自転車泥棒だ。保定市は平地のため、自転車が移動手段として便利だが、食事や買い物で数10分間駐輪しただけでも盗まれる危険性が高い。これは鍵のある無しは別で、特にヒモ状の鍵で自転車を停めた場合、そのヒモを切断されて盗まれる。また金属製の強固な鍵で自転車を停めたとしても、鍵は取らずにその自転車を担いで盗まれてしまう。これを避けるためには、金属製の強固な鍵で、自転車と店の近くにある埋め込みのポールなどに一緒に固定させてしまうことだ。
保定市に限らず、中国の各地方では車の交通量も多く、移動にタクシーを用いることもしばしばある。ただし、通称白タクと呼ばれるタクシーの偽物があり、それに乗ると身に危険がおよぶこともある。
私が留学中に遭遇した白タクは2種類ある。
1つめは普通の乗用車を使用してタクシー業をしているものだ。手口はタクシーが多いところで、タクシー待ちをしている人にどこまで行くかと尋ねる。その後すぐ「乗せていくから」と、或いは「他のタクシーは特別で高級車で料金が高い。こっちが普通のタクシーだから、○○元でそこまで連れてくよ」と言ってくる。これらは断っても何度もしつこく聞いて付きまとってくる。無視をつらぬくか、早歩きでその場を離れるなどして対処する必要がある。このタイプの白タクは特に珍しいものでもなく、どこのタクシー乗り場に何人もいて声をかけている。このタイプの白タクの一番怖いところは、臓器売買や人身売買ブローカーにつながっていることがあるからだ。河北大学の中国人の学生も、このタイプの白タクには十分警戒している。この手の白タクは、どんな状況でも絶対に避けなければいかない。
2つめの白タクは、正規のタクシー運転手の人だが、メーターを使わずに自分で料金を提示して、割高のお金を請求するタイプだ。これの厄介なところは、タクシー用の乗用車で運転しているため、話を聞くまでは正規のタクシーか白タクか区別がつかないところだ。手口は決まっていて、目的地を聞くとすぐに料金を提示してくる。また料金メーターの電気がついていなかったり、0.00元の表示で止まっている。対応としては、まず目的地を告げて、このタイプの白タクならばそのまま車から降りればいい。ただ一部の地域や時間帯では、正規のタクシーがおらず、このタイプの白タクしか走っていないこともある。
すべての被害に共通して言えることだが、中国の警察に報告しても取り合ってもらえないと考えた方がいい。事実、私は北京の酒場で半ば脅しの詐欺にあって信用カードで日本円で12万支払わされたことがあった。警察署に行ったのだが、警察官に取り合ってもらえなかった。なんとか説得して警察に動いてもらい、一緒にお店まで来てもらったが、取り調べや捜査もなしにいきなり示談交渉になった。その交渉中も警察官は携帯の画面をずっと見て介入するそぶりはなく、結局私とその酒場の店長の2人で示談交渉をすすめ、7万円しか返してもらえなかった。このことを北京現地の友人に相談したところ、7万も返してもらったのはむしろ多いくらいだと言われた。中国の警察(少なくとも保定市と北京)は正直あてにはできない。そのため自分の身の安全は自分で守ると、自分が犯罪に巻き込まれないように心がけるほかにない。
中国語のクラスは5つあり、初級A、初級B、中級A、中級B、高級となっている。留学生活の最初にクラス振り分けのテストを受けるが、成績はあくまで個人の参考で、それに関係なく好きなクラスを選択できる。そのためか、クラス内での中国語レベルにばらつきがあり、あまりにもその差が大きければ、教師がうまく授業の難易度設定をできず、授業に参加しづらくなってしまう。科目は下記の写真の通り。(写真は今年度版)
留学生の授業は午前中のみで、午後は参加自由の実習授業やHSK(中国語試験)対策の授業になっている。これらの授業に参加しなければ、午後はそのままフリーになる。留学期間中で中国語の自習をしたり、中国の学生や他の留学生と交流するなら、この時間をうまく活用することが重要だ。
留学期間中に身につけておきたい中国語能力の1つで、語気や身体的コミュニケーションがある。身体的コミュニケーションと聞くと、ジェスチャーのような分かりやすい身体表現が思い浮かぶが、私が重要だと思うのは話すときの姿勢、腕を広げたりなどの微妙な四肢の動き、表情、話すときの距離感である。 例をあげるなら、中国語で相手の話が聞き取れなかったとき言う「啊?」の言い方だ。ピンイン通りに発音すると「アー」となるが、ネイティブの発音に近づけると音が濁り、タメが入り「ア゙ァ゙ッ!?」となる。そして表情は眉をしかめ、まさに意味不明という感情を全力で出して「啊?」と言う。この発音の仕方は、日本人のヤンキーがガンを飛ばすのに似ていて、現地の中国人と交流した経験の少ない日本人がこの問い返され方をしてオドオドする様子がよく見かけられる。
中国語を話すときは、傾向として、自分が感じている感情を、顔の筋肉を目一杯つかって表情に表す。また話すときの距離も近く、大体腕を伸ばして手首~肘くらいの距離で話す。そしてこれは人や年齢によって異なるが、二人きりで会話するときは対面よりも横並びで話したりや、対面で話すなら上体はやや前かがみ、横並びで話すときは話す相手に近いほうの肩が下がり、やはりそちらに重心が傾いて話す人もいる。また日本人同士ではあまりしない人や物を指さししながら話すこともあったり、友人の間では肩を叩いたりなどのボディータッチも会話中に何回も起こる。
身体的コミュニケーションはネイティブ同士でも当然個人で違いはあるが、注意して観察すると日本人風の話し方と中国人風の話し方の違いが見えてくる。私たち日本人が中国風の話し方に違和感を覚えることがあるように、中国人としても同様のことが起こる。しぐさや話し方が一致する人とは、心理的に同調意識が生まれ友好関係を結びやすい。逆にしぐさや話し方が離れていれば、相手が自分とは別人であることを意識してしまい、友好関係は結びづらくなる。中国人との友好の輪を広げるためにも、身体的コミュニケーションは重要な鍵になってくる。
文法や中国語の漢字などは日本でも学習することもできる。それに対し身体的コミュニケーションは、日本の中国人の人たちと交流しても既に彼らの振る舞いが日本人化していることもあり、やはり現地でしか学べないものだと考えている。