ベラルーシの首都、ミンスクにある「ベラルーシ国立大学」で勉強を初めてから、六ヶ月経ちました。この半年、語学クラスで、様々な国からベラルーシに来た留学生と一緒にロシア語を勉強しながら、お互いの国の文化を理解し合ってきました。
ベラルーシ国立大学は、七、八月は夏休み期間ですが、語学を勉強する夏のコースは休み中も開かれています。私は今、夏のコースで語学勉強を続けているところです。今回のレポートでは、これまでの学習、これからの目標、ベラルーシでの生活についてお伝えし、この国に興味のある方、またはベラルーシに留学に行きたいと思っている方達に、少しでも役立てて頂ければと思います。
今回の交換留学での私個人としての課題は、「成人の言語習得において、言語環境が言語習得に与える影響」と「旧ソビエト、チェルノブイリの理解」の二つです。
ベラルーシに着いてから、すぐ語学の学習クラスに入り、他の国から来た学生と一緒に勉強を続けてきました。現在は夏休みで、クラスメートはほとんど帰国しており、私は関西の大学から来た日本人学生と一緒に、夏のコースで授業を受けています。
ロシア語の構成と活用はとても複雑なので、基礎だけでも勉強が大変でした。でも、勉強の傍ら、他の国のクラスメートと英語やロシア語を交えながら、コミュニケーションを取ることは、とても貴重な国際交流のチャンスです。以前から聞いてきた様々な説や噂などを、実際にその国の人に確かめることができます。私自分も、よく日本・福島・中国のことについて聞かれます。このような交流により、真実を知り、誤解を解いてお互いに理解するコミュニケーションは宝のような経験だと思います。ベラルーシに居ながらにして、他の国のことについても、たくさん知ることができます。
今まで、初級クラスで基礎・活用・文法についてずっと勉強してきましたが、日常生活でいざ使おうとする時は、とても大変です。基礎はもちろんとても大事だと思いますが、この一年で、個人課題の一つ「言語環境が言語習得に対する影響」に触れることも重要だと考えています。そのため、私は九月から、レベルの高いクラスに入ります。知らない言葉でも、まずは聴き慣れることから始めたいと思います。
九月から二学期が始まり、また世界の様々な地域からベラルーシに訪れる生徒と知り合い、共に勉強し、交流できるようになります。なるべく多くの学生と交流し、今の日本と福島の本当の状況を発信できればと思います。これからの半年は、基礎・文法などを覚えながら、自分の課題を確かめるため、なるべく会話の実戦を行い、ベラルーシの方達と話をしていきたいと思います。
また、今回のチャンスを利用して、チェルノブイリへ行き、現在の状況等を実際に見聞きしてみたいと思います。放射研究所も訪れて、あの事故と対応手段について、もっと詳しく知りたいと考えていますので、専門用語もなるべく多く覚えておきたいと思います。
ベラルーシ国立大学の学寮は、夏休みの期間も住むことができますが、事前に申請を出し、あらかじめ新しい通行証を作ることが必要です。地元の学生は、夏休みの間、ほとんどが実家に戻るので、学寮にすんでいる寮生が今はとても少なくなりました。キッチンは他の階の一つしか使用できず、料理するのが少々不便になっています。学寮はそれぞれミンスクの違う場所にありますが、この街の交通手段はとても便利で地下鉄、バスなどの交通機関が発達しているので、通学に不便することはないと思います。今私が住んでいる7番寮から学校までは、徒歩で20分ほど、バスでニ駅ぐらいの距離です。
ベラルーシの主食は、パンとお米が同じ割合で食べられていますので、主食について不便を感じることはないと思います。地元の料理は美味しいのですが、全体的にバター、チーズをたっぷり使っており、また揚げ物も多いので、慣れないところは多少あります。半年が経った今は、日本食が恋しくなってきていますので、自炊することが多いです。食材は日本と大した変わりありません。日本の調味料、欲しい食材などはスーパでほとんど買うことができます。
ベラルーシの娯楽施設は日本と比べるとそれほど多くはありませんが、映画館があり、新作映画を毎月観ることができます。映画館の環境はとても良く、値段も日本と比べるとかなり安いので、聞き取りの練習には最適です。映画鑑賞はベラルーシでの休日におすすめする娯楽の一つです。また、劇場や博物館が多数あり、勉強・見学のチャンスも充実しています。
「ベラルーシ」に対するイメージは、以前よりずっと固まっており、偏見を持たれていると言っても過言ではないと思います。しかし、実際にこの国を訪れ、土地を踏み、空気を吸い、地元の方々と関わってみれば、この国が自分の予想とは遥かにかけ離れていることが分かると思います。
国際社会に漂った戦争の影はなく、ベラルーシ全国の治安は割と良いですし、首都であるミンスクは特に安全です。失業者によるデモ活動が一回ありましたが、その後収まり、建国記念日、戦争記念日など、皆相変わらず団結し、楽しく生活しています。また、ベラルーシの人々はとても親切で、素直です。アジア顔の私が町を歩いていると、時に若い方に「ニーハオ」などと話かけられます。知らない人に道を聞いたら、分かるまで真面目に案内してくれますし、逆に道を聞かれることもあります。これは「外人」である私に、よその人という考えを持っていないということの証だと思います。
留学によって、身を持って外国を知り、偏見を消し、視界を広げることは実に素晴らしことだと思います。「留学してみたいな」と思っている方、是非その気持ちを大切に、じっくりと考えて、試してみませんか?