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留学体験記

【アメリカ】サンフランシスコでの半年間

【派遣先】サンフランシスコ州立大学 【留学期間】2018年1月~12月
人間発達文化学類 I.Aさん

 

 時が経つのはとても早いもので、サンフランシスコ州立大学での最初の留学生活が始まってから、前期を終え、6カ月が経過しようとしています。今回は、留学折り返し地点を迎えた現在から振り返って、前期の学習、学校外での生活の様子、そして留学を検討している方へのアドバイスなどを記していこうと思います。

前期の大学での学習

 サンフランシスコ州立大学(以下SFSU)では、ミュージカルが好きということもあり、私は一度携わってみたかった舞台芸術専攻を選びました。サンフランシスコ自体、数多くの劇場や劇団があり、エンターテイメントへの関心が高い街です。SFSU内の舞台芸術棟の中には、大・中・小3つの劇場が備わっており、十分な環境でした。専攻の授業の一つも、その劇場の中で行われ、実際の設備を実際に見て、学ぶことができました。

 記念すべき授業初日、期待に胸を膨らませて授業に臨んだものの、待っていたのは「授業についていけない」という、直面するとわかってはいたものの、避けることはできない大きな壁でした。それからは、専攻の授業では教授の許可を取って毎回録音させてもらい、授業後聞き逃した内容を復習していました。当然のことながら、授業で出てくる単語はすべて英語です。さらには日本語でも聞いたことがない名前も出てきます。その都度、単語を調べながらの授業になるので、授業の内容を理解するのにはほかの学生たちの倍はかかっていました。

 そんな授業を重ねていくにつれ、数カ月後には次第に講義のスピードにも慣れて、復習をせずともついていけるようになりました。ただし、授業についていけることと内容を完全に理解できていることは話が別。その授業ではテストが3回ありましたが、そのうちの一回は、レジュメの片隅に書いてある内容を取り上げたり、文章で答える説明問題が5、6問あったりと、私にとってはかなり厳しいものでした。そうは言っても、あくまで言い訳にしかなりません。すでに一年間のプログラムが終盤にかかった周囲の日本人留学生と話してみると、「前期は、Bが1つか2つ。後期はオールAだった。」という答えが返ってきました。こちらに来た以上、「そりゃ母国語は英語じゃないんだもん、良い成績とれるわけないじゃん。」なんて言葉は通用しません。後期は、わたしもオールAを目指して頑張ろうと思います。

サンフランシスコでの生活

 学校外の時間は基本的に、友達とどこかへ出かけたり、夜ご飯を一緒に食べたりしています。学期はじめは、学生たちと交流する機会が多く、週に最低3回は夜ご飯を食べに行ったり、外出したりしていました。こちらも、誘われればせっかくの機会を逃せないと思ってしまって、基本的には誘われれば必ず行っていました。しかし、日本のように、比較的安い居酒屋やファミレスでの食事ばかりではありません。サンフランシスコで食事をする場合、安くても最低$15はかかります。日本円にすると¥1,600円程度になり、決して手ごろではありません。結果的に、2月から3月の時期は、こういった娯楽費に多くお金をかけてしまっていました。サンフランシスコは物価が高い街です。ただでさえ莫大なお金がかかる留学中は、何に自分は最もお金をかけるべきなのか、この予定は本当に行くべきなのか、慎重に考えることも必要です。もちろん、それを考慮したうえで、基本的にはせっかくの機会を無駄にせず、どんどん参加していってほしいです。

Unforgettable experience in theater class

  In the spring semester, I took an interesting class in theater major. Every student who belong to theater major has to take that class. They have some production in every spring semester which is composed by themselves. Most students have to work as crew at least a production, so I chose a musical, "Hair" and costume department.

  In the first meeting, I got so nervous because I couldn't see any other international students there. Also, they might know each other already and have done it before. In the other hand, I used to study in education department for 4 years, and have just basic knowledge about theater. There was nothing but obstacles in front of me.

  Most of works for costume crews are maintaining, presetting in backyards and helping actors to change their costume. To accomplish these work, there were series of steps that I had to remember. First, every actor's name and characters' name refers to them. Of course, each costume has label. Although the name written on label was last name, other crews called their name in first name. At the same time, I had to understand the details about every single costumes, including hats, accessories and other stuffs perfectly. To the matter worse, we were basically prohibited to talk in backstage during the performance. Not only costume crew but actors whispered each other, so it was too hard for me to communicate with them. As a result, first week was terrible for me. I just followed others and had no confident about my idea. Some crews are so serious that they sometimes ignored and skipped me to share instruction. I've never stayed such desperate situation before, so I wanted to run away immediately.

  However, I wanted to change the circumstance, so I decided an idea in my mind. "If I can't understand what they're talking and arguing, I'll be aware of everything and do anything quicker than any other crews." As this decision says, I began to keep paying attention to everywhere and write down whatever I noticed through the show. What do you think happened to me? A few days later, I understood almost all actors' name and position for every costumes. Also, other crews started to ask me to make sure something. I was so happy at that moment because I could feel that I finally belonged to costume team.

  In addition, I started to find joy through the cooperation with actors. Whenever I helped them to switch their costumes, they said, "Thank you" to me and smiled. At these moment, I could feel that they treated me fairly as just one of the crews, and this helped me greatly.

  The rule which prohibited us to talk in backstage might be fortunate for me. Without literal language, we could communicate in physical language, so we sometimes danced and had fun each other.

  At the end of semester, we finally finished all of the schedule of the production and took final lecture in this class. I finished and handed my assignment to professor, and was about leave the room. In the conversation, one of our classmates suddenly said, "You were an awesome crew, anyway." And started to clap his hand. Though I thought that words were for all of classmates, I noticed everyone kept staring at me and smiled. "Wait! You mean...for me?" I asked, and he replied, "Yes, sure. You did great job even though you were international student." I still couldn't believe what he was talking about, but I could realize they were so warm and already noticed what I did in our daily work. When I noticed this point, I couldn't stand crying. Also, I found slight tears in professor's eyes, too. She's always been worried about me and supported, so I was so glad that I could show her my outcome through this semester. Thus, this class has become the most unforgettable class in this semester. As long as I have any chances, I desire to join the activity no matter how severe to pass it.

これから留学を志す方へ

 留学を続けていく中で、改めて最も大切だと感じることは、「自分は何をするために留学しに来たのか」ということを常に念頭に置き続けることです。最も大切であるのに、最も意識し続けることが難しいことでもあります。SFSUにはさまざまな国からたくさんの人が留学しに来ます。そのなかで、私のように1年間滞在するという交換留学生はとてもまれで、おおよその学生は1セメスターだけで帰ってしまいます。すなわち、全員が全員同じ目的で来ているとは言えないのです。私の周りにも、常に同じ国から来た仲間と時間を過ごし、休日は旅行三昧という学生たちもいます。しかし、これもまた彼らにとってはひとつの目的です。問題は、これらに流されないように自分をきちんとコントロールできるかということです。

▲携わった演劇の俳優の一人。実はアメリカ人と日本人のハーフで、私が日本人だと気づくと流ちょうな日本語で話しかけてくれて、不安な気持ちなどを聞いてくれました。

 また、以前私が友人から聞いたのが、自分のSNSに白人の友達の写真しか載せない日本人学生がいるという話でした。留学は基本的に思い描いているものと違うことが多々あります。たとえばサンフランシスコでは、そもそも中国から移住してきた住民の割合がとても大きいので、決して白人のアメリカ人が人口のほとんどを占めているわけではないのです。SFSUも、様々な国からたくさんの留学生を受け入れているので、大学の中を歩いているだけでも様々な国の学生を見かけます。

 では、「せっかく留学にきたのだから、アメリカ人の友達を作らなければ体裁を保てない」という考えは正しいのでしょうか。気持ちはよくわかりますが、それは違います。少なくとも私にとっては、アメリカ人の友達よりも、同じ留学生友達のほうが心強い存在でした。留学生とはいっても、英語がとっても上手な人はたくさんいますし、何より留学生ならではの悩みなどを共有できるのはやはり同じ留学生です。また、たくさんの留学生と関わる中で、自分が知らない世界を見ることができたり、「自分はなんて世間知らずなんだろう」と感じたりすることは多々あります。それに気づき、次なる学習意欲へつなげることができれば、それは大きな成長です。わざわざ変な意地に縛られる必要などないのです。

 これらを受け入れて、それでも挑戦したいんだという人にしか、留学はおすすめできないかもしれません。ただし、一度飛び込んでみれば、世界観が大きく変わり広がります。特に、私のように、自立して自分の出身地以外を経験したことがない人には、ぜひ行ってほしいです。しかしまず、何よりも英語の知識量だけではなく一般常識の知識量の差が、留学先で成長できる幅の差につながります。日頃から世界の情報に耳を傾け、留学へ着実に準備を進めてほしいと思います。