私は、2018年8月19日から9月19日まで、日越大学のベトナムサマープログラムに参加した。
今回のプログラムの目的は、ベトナム人と交流して、ベトナムの社会について学び、また日系企業・期間を訪問して、海外で働くということについて知る、ということである。加えて、私は中国での一年間の交換留学の経験があり、中国に続きベトナムを知ってアジアに対する理解をより深めることで、将来の職業の選択肢の幅を広げたいと思い、参加を決めた。
サマープログラムは、ベトナムのハノイにある日越大学主催で行われ、日本全国の大学から13人の学生が参加した。日越大学というのは、日本政府とベトナム政府の協力のもと、2016年に本格的な教育活動を始めた新しい学校である。私たちは日越大学や外国語大学のベトナム人大学生らと共に、約10日間様々な活動をしてきた。
プログラムでは主に、日越大学にてベトナム語やベトナムの文化・経済についての講義の受講、現地で活躍する日系企業の訪問、ニンビン・ハロン湾見学といった活動をした。
▲フォー
私がサマープログラムで学んだことは、大きく分けると二つある。一つ目はベトナムの社会・文化についてであり、二つ目は日系企業や機関についてである。 まず、一つ目のベトナムの社会・文化について述べる。
ベトナムに行き、すぐに感じたことは、ベトナムは「バイク社会」ということである。交通手段はほぼ車かバイクで、自転車はあまり見られなかった。また、ベトナムハノイにはまだ電車がないという。その分タクシーが安いが、電車がないということから交通が不便に感じ、インフラがまだ整備されていないことがうかがえた。
また、私が日越大学の講義を聞いて、印象的だったのが「中秋節」についてである。中秋は中華圏の重要な行事である。日本でも中秋の名月をめでるのと同様、ベトナムでも中秋を祝う。ベトナムでは、子供たちが伝統的な灯籠を持ち中秋節を祝うということで、私たちは最もポピュラーな星形の灯籠づくりを体験した。ベトナムでは、中国と同じく中秋に月餅を食べる習慣があるということが分かった。また、ベトナム語についての講義を受けた際、ベトナム語は漢字から来ている言葉が多いということも印象的であった。ベトナムで最も古い大学が置かれていたという文廟を訪れた際も、漢字で書かれた文字が多くあった。中秋やベトナム語について学ぶことで、ベトナムは東南アジアではあるものの、中国文化の影響が強い国だということを感じることができた。
▲中秋節について学んだ際に。フルーツと月餅を食べ、星形の灯籠を作った。
二つ目は日系企業や機関についてである。今回のプログラムでは、ベトナムのイオンとJETROに訪問した。
イオンでは、イオンベトナムハノイ代表の方に話を聞いた。私は、イオンの客層はベトナム人の中でも比較的経済力のある人々が対象だと思っていたが、実際はバイクで15分くらいの人たちが対象だということが分かった。また、ベトナムイオンで最も売れている商品は、抹茶アイスクリーム(約40円ほど)だという。売れないだろうと思われていた寿司も売れ、開店当初は寿司を買うのに二時間待ちという状況だったということから、日本の抹茶や寿司といった食文化が受け入れられているということを感じた。
また、代表の方によると、海外での仕事について、3つの心持が大切だという。それは日本人の代表としてのふるまい、国・人々を尊敬すること、そして従業員とともに仕事をやりきる覚悟、ということである。海外で仕事をするにあたり、「日本ではこうだったのに...」というのは言ってはいけない。しかし、全てをベトナムのやり方に合わせるというわけではなく、お客様と従業員にとってベストな選択をすることが重要である。また、その心持が表れている例として、店長は現在ベトナム人に任せているということだ。店長をベトナム人にすることで、マネジメント力が下がるというデメリットもあるが、それよりもベトナム人社員との言語の壁をなくし、コミュニケーションを重視していることがわかる。
イオンの次にJETROに訪問した。JETROは、貿易・投資促進と開発途上研究を通じ、日本の経済・社会の更なる発展に貢献することを目指している日本貿易振興機構である。 JETROハノイ事務所は日本人10人、ベトナム人10人という人数構成である。ベトナム人スタッフに、働いて面白いこと、やりがいは何かについて聞いてみた。「一般企業では、ほかの企業と関わったりすることが少ないが、JETROは様々な企業と関われるから面白い。また、毎日日本語でコミュニケーションをとることから、勉強した日本語を仕事で活かすことができる」とのことだった。
今回日越大学でのサマープログラムに参加したことで、ベトナムの社会・文化についてと、ベトナムにおける日系企業や機関についての理解を得ることができた。今後は、福島大学のベトナム人留学生との交流をより深め、ベトナムについて更なる理解を得たい。
今後は、日越大学のベトナム人学生とも、フェイスブックを用いて交流を続けたいと考えている。ベトナム人大学生は、将来は日本で働きたいといったような目標を持っており、それに向かって努力をしていた。彼らと定期的に情報交換をすることで、お互いに切磋琢磨していける関係を築いていきたい。
また、今回海外で仕事をしている日本人の方々を知ることで、「海外で働く」ということがより身近になった。企業訪問をした経験を活かし、これからの就職活動に役立てていきたい。