まずこの場を借りて、今回の交換留学を支えてくださった国際交流センターの皆さん、行政経済学類の村上先生、人間発達文化学類の高木先生、友人、家族へ感謝の気持ち伝えたいと思います。本当にありがとうございました。一度は諦めかけた留学を充実したものにできたものみなさんのおかげです。約10ヶ月間の留学の様子を以下にまとめさせていただきます。
2セメは履修制限がなくなり、「教育学」「異文化コミュニュケーション」「政治と宗教」の3科目を履修しました。一番大変だったのは、教育学のディスカッションとグループプレゼンテーションでした。教育分野は私のバックグラウンドだと思っていたので、一番苦労しないだろうと甘く考えていた中のまさかでした。オーストラリアの多国籍国家の特徴から生じる宗教や言語が異なる子ども達の環境や、LGBTに関する教育など様々な教育問題について考え発言したり、日本の教育についての意見を求められたり、と新しいことばかりでした。ディスカッションとグループプレゼンテーションで自分の力不足に落ち込むことはありましたが、尊敬できるチューターと学生に支えられてなんとかやりきることができました。一生忘れない授業だと思います。これから教育系の道に進もうとしっかり決めることができたのは、この授業のおかげだと思います。
正直、UQでの勉強は怠け者の私にとって、かなりタフなものでした。しかし、このように海外の大学で勉強することで、自分の学びに対する態度を見直すことができました。
オーストラリアの生活にも慣れ、非常に楽しく過ごすことができた2セメだったと思います。なかでも、「大親友」と言える友だちができたこと、心から尊敬のできる日本人・海外の友だちと一緒に時間を過ごすことができたことが、充実した生活のおかげだと思います。また、ホストマザーとはとても良い関係でオーストラリア生活最後の2週間は、彼女と一緒にタスマニア旅行にも出かけました。
― 幼稚園ボランティア@シドニー ―
冬休み(6月下旬から7月下旬)はシドニーの幼稚園でボランティアをしました。主に子どもたちと遊んだり、食事の補助をしたり、寝かせたりなど日本の保育園や幼稚園と同じような活動に加えて、私が主体となって日本の歌や文化、折り紙などを教えるという活動も行いました。幼稚園は、そのロケーションからも児童たちはアジア系が多かったです。ここでは、子ども達の発達に合わせた先生の対応の仕方を特に学びました。家庭環境など彼らのバックグラウンドから、言語学習に対する環境が違います。そのため、先生方は個々に合わせて言語に触れ合えるようなカリキュラムや環境を作っており、とても勉強になりました。
また、この期間はギリシャ人の家族の家へホームステイをしました。楽しい時間を過ごすことができたのですが、ここでは忘れられない経験をしました。彼らはバックグラウンドがギリシャなので、厳格なキリスト教家族でした。私は、1セメで宗教について学んだので、宗教に関しては多少自信がありました。しかし、22年間宗教と深く関わりのなかった私は、ホストマザーに説教を受けることになりました。最初は、宗教について知っているつもりだった自分に悲しくなりましたが、とても深い学びになりました。この経験が、2セメでも宗教に関する授業をとる理由になったと思います。
― 日本語教師アシスタント@メルボルン ―
2セメ後(11月)はメルボルンの郊外の中高一貫校で日本語教師のアシスタントをしました。主に、オーストラリア人の日本語教師と教材研究をしたり、子ども達のスピーキングの相手になったり、という活動を行いました。日本の学校システムと異なることが多々あり、最初は戸惑うことがありましたが、先生方のサポートもあり、徐々に子ども達と上手くコミュニケーションを取ることができるようになりました。特に印象に残っているのは、マンツーマンの日本語レッスンをYEAR 9 (中学3年生)の一人の女の子としたことです。YEAR 9では日本語の授業がないにも関わらず、彼女は日本語の勉強を続けていました。日本語を勉強し続けてくれていることや日本の文化に非常に興味を持っていたこと、私が作った教材に一生懸命取り組んでくれたことは嬉しかったです。
オーストラリアで幼稚園ボランティアや日本語教師アシスタントも行うにあたって、「チルドレンチェック」という犯罪歴がないことなどのチェックが必須でした。たった1日でも子ども達と触れ合うためにはこのチェックが必要で、この点は日本よりも厳しくされています。このことも、児童虐待の増加などオーストラリアの教育問題を表している点だと思います。大学の授業やボランティアを通してオーストラリアの教育触れ合うことで、教育現場が抱える問題は日本と似ていることもあれば違うこともあり教育問題は果てしないと感じました。しかし、それらの問題に対して取り組む先生方の懸命さは同じで、改めて「教員」という職業の魅力を感じました。
この留学で得たものは、たくさんありますが、多くの人との関わりの中で、人の優しさに心から感謝できるようになったことだと思います。留学前は、自分にとって不利な環境から逃げる傾向があり、ネガティブなこともほとんどない環境に行きがちだったので、ひどいことにも、周囲が優しいことなど当たり前として過ごしていたように思います。しかし、留学という自分でなんとかしなければならない環境を通して、周りの人の優しさや思いやりに心からありがたいと思えるようになりました。友達作りに戸惑った時、助けてくれたのは中国人の女の子でした。勉強が嫌で仕様がないとき話を聞いてストレス発散させてくれたのは、オーストラリアと中国の親友でした。勉強の息抜きにと、旅行や映画に一緒に連れて行ってくれたのは、ホストマザーでした。留学という慣れない環境について話してストレス発散させてくれたり、将来へのモチベーションを与えてくれたりしたのはそこで一緒に頑張る日本人の学生でした。
オーストラリアで出会った人、そして日本から支えてくれた人それぞれに今心から感謝できるのは、留学という環境が与えてくれたものだと思います。「たかが一年、されど一年」。「たった一年弱の交換留学で何が変わるんだ」と思う方もいるかもしれませんが、この一年できっと見つけられるものがあると思います。留学して良かったと心の底から思います。これからは、オーストラリアで学んだことを大切にして、自分がやりたいと思ったことに進んで行きます。