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留学体験記

【オランダ】大学生活4度目の引っ越しを終えて

【派遣先】ハンザUAS・フローニンゲン大学 【派遣期間】2019年8月~2020年3月
経済経営学類 S.Kさん

 

 オランダ留学も折り返しを過ぎました。毎日のようにどんよりとした暗い天気ですが、少しずつ日も長くなってきました。フローニンゲンは、今年が暖冬というということもありますが、緯度のわりに冬があまり寒くならないので雪国出身にもかかわらず寒さが大嫌いな僕でも、毎日の自転車通学は苦ではありません。(雨と風の日は多いですが...)  
 今回のレポートでは、最近の生活の様子や、引っ越し(住居の探し方)などについて書いていきたいと思います。

オランダ生活にも慣れてきた2学期目

 クォーター制の私の学校では3学期がすでに始まっています。今学期は、 さらにグループワークが増えてきました。

▲クリスマス休暇前の特別授業では、スーツ着用のところをクリスマススタイルで!
と先生が前日に言ったので多くのクラスメイトが
クリスマスの格好をして授業に参加しました!

 オランダ生活で留学生が口をそろえて不満を言うことは、天気と食事です。基本毎日曇りで、冬は日照時間が極端に少ないので(日の出が9時、日の入りが16時のときがありました)かなり気分が落ち込みます。食事においては、オランダ料理といわれる料理は自分の口には合いませんでしたし、食の多様性も周辺国に比べてないように思います。私は毎日鍋でお米を炊いたりして自炊をしていますが、レパートリーがなく飽きてきたので簡単にできる日本食レシピを探しています。

 もう一つ、留学していて思ったことは、所属できるコミュニティが異常に少ないということです。福島大学ではサークル、ゼミ、バイト、授業など探せばいくらでも新しいコミュニティを見つけ、新たな人に会うことができますが、ここでは授業をするクラスメイトは一年間固定、残りのコミュニティは寮のみです。サークル活動はありませんし、学校側の留学生に対するサポートやイベントは一切ありません(一応バディ制度はありますが、あくまで勉強のためのもので利用している人はほぼいません)、スポーツクラブチームもないわけではありませんが、自分は人数の関係(?)で入ることができませんでした。多くの人と会う機会が欲しいとなると、かなりの努力が必要だなと感じます。

 また、休みの日にはたくさんの国に旅行をしていたのですが、実はオランダ国内を旅行したことがなく、先日ようやくアムステルダムを訪れました。アムステルダムのみならずオランダ国内は美術館・博物館がたくさんある(そしてそれぞれの入場料が地味に高い)ため、ミュージアムカードというオランダ国内すべての美術館・博物館に使える年間パスポートを65€で購入しました。このカードはオランダ国内に住所がある人のみ買うことができます。(厳密にいうと仮カードは観光客でも購入できますが一か月に5か所というルールになるので元を取るのが難しそうです)今まで特に美術には興味がなかったのですが、これを機にたくさんの美術館に行ってみたいと思います。

▲オランダの美術館の様子です。ほかの国と違い観光客が少なく、
子供連れの親子が目立ちました。両親が作品の説明をし、
子供たちはしっかりと鑑賞していて驚きました。
また、美術館内にはこういった子供が見やすいように工夫されている個所もありました。

オランダで家さがし

 最近は、以前より改善されつつありますが、オランダでは「住居<人口<自転車」という理解不能な不等式が成り立つため、住居が決まらないままオランダにきてしまう留学生も少なくありません。(ちなみに私が福島大学に入学した年も住居不足で一か月間のホテル生活を強いられたのでそのことを思い出しました)なので、交換留学が決まり次第、四月中には住居を探すことをお勧めします。自分はSSHというサイトで契約しましたが、四月に見た時には一つしか選択肢がありませんでした。ほかにもいくつかアプリ(いくつかは物件を検索するだけでお金がかかります)や、フェイスブックでシェアハウスを探す方法があります。自分も引っ越しする際にフェイスブックの家探しも挑戦しましたが、情報が出た瞬間にたくさんの人が家主にメッセージを送るためかなりの激戦になることや、数か月のみ住みたい交換留学生にはあまり向かない条件の物件が多かったので、SSHの事務所を直接訪問し、別の物件を紹介してもらいました。たくさんの物件を調べましたが、学生が多いこの町では一人暮らしの物件は見当たらず、シェアハウスか寮タイプの物件しかありませんでした。ちなみに物件が見つからない状態でオランダにきてしまうと、病室のような部屋にたくさんの人と住むことになるそうなので、部屋探しは一番力を入れてください。

 新たな住居ですが、交換留学生専用の寮なので、目的や考えが似ていることもありやさしい友達に出会うことができました。部屋はルームシェアでトルコ人と同じ部屋で暮らし、キッチンやシャワーは10人(トルコ、ベルギー、アメリカ、台湾からの学生)で共用です。フロアや部屋は交換留学生かどうか、学校はどこか(市内にもう一つ大学があり、寮は二つの学校の学生が混ざります)のみで振り分けられるため、ルームメイトもキッチンを共有するメンバーも運次第なので祈るしかないです。今回はとても居心地のいい寮でよかったです。

 新たな寮では、ほとんどが新しく来た学生のため、仲良くなるためにInternational dinnerを開催しました。私は、寮で出会ったもう一人の日本人学生とともに巻き寿司を作りました。

最近の休日は同じフロアの友達とサイクリングに出かけたり(相変わらずの曇り空) ボードゲームで遊んだりしています。

コロナウイルスとアジア人差別

 最近オランダでもコロナウイルスの感染者が増えてきたため、毎日のニュースチェックは欠かせません。最近は世界的に広がってしまったのでその種の報道は見かけなくなりましたが、初期段階ではヨーロッパでアジア人差別が広がっているという報道を見かけました。しかし、個人的には差別は今に始まったことではないなと感じます。確かに旅先のバスでアジア人はマスクをしろと言われたり、飛行機で隣の女性が席移動したりということもありましたが、治療法のない感染症が怖いと思うのはどの人も思うことではないでしょうか。差別と感染症をあまりにも結び付けすぎるのはよくないなと自分は考えます。

 もちろん友人関係、日常生活で差別的な対応をされたことはありますが、自分も含めそれぞれに無意識に差別的なことをしてしまっていることもあるなと感じました。具体的な出来事としては、私が友達の髪飾りの柄を中国の柄みたいで良いと褒めたら、友達が目を吊り上げる動作(典型的なアジア人の顔真似でこれで人を馬鹿にする人もいる)をしたことです。仲のいい友達の一人なので悪気もなければ自分に向けてやったわけではないのは承知ですが、いい気持ちではなかったので、こういった動作、言葉遣い(日本語で言う外人という言葉も)も気を付けていかなければいけないと思いました。

 しかし、個人的に最もつらいと感じることは、こちらで暮らしていると、学校や一部の人から「日本人」という扱いしか受けず自分という一人の人間を認識してもらえないことです。大きい主語で物事を決めることは簡単ですがとても危険なことだと思います。目の前の一人一人の性格を一人の人間としてリスペクトして関係を築いていくことが一番大切なことだと感じました。

最後に

 半年以上が経過し、残りの期間をどう過ごすべきか、この留学生活で結局自分は何を得るのか、ということについて時々考えてしまいます。また、前の寮の人間関係や、思うように伸びない英語力、留学後の進路について考え込んでしまい一月は精神的につらい時期でもありました。しかし、引っ越しを境に新しい人と出会うことができたり、時間がある今だからこそできることや、ここでしかできないことを見つけ、取り組んでいます。今は、自分の周りにいる人たちとの時間を大切にしたり、彼らから様々なことを学んだりしています。また、価値観や、ニュースなどの情報から様々なものをとらえ、考える視点が少し変化して来たように感じます。帰国へのカウントダウンと同時に、少しばかり焦りもありますが、多くの人のおかげで今の留学生活があることを忘れずに、今できることを精一杯やり遂げて帰国の飛行機に乗りたいと思います。