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留学体験記

【トルコ】The best time of my life in Turkey

【派遣先】中東工科大学 【派遣期間】2019年9月~2020年7月
経済経営学類 B.Kさん

  
 ふっと立ち止まって、僕の留学レポートを見てくれたそこのあなた。絶対、留学してほしい。福島に閉じこもったまま、日本に閉じこもったまま、留学せずに卒業するなんて絶対にもったいないです。

 一年間の留学生活は、人生で最高の時間でした。とても幸せなことに僕はトルコで、ありのままの自分を愛してくれる、そしてありのままの自分でいれる、家族同然の友達ができました。みんなと飽きるほどケバブとトルコアイスを食べて、食後は必ずチャイ(ブラックティー)を。大人ぶってシーシャ(水たばこ)を嗜んで、イスラム教についてもたくさん勉強して、ラマダンの断食も1ヶ月間やりきりました。

 トルコ人を僕たちが案内できるようになるほど、たくさん旅行もしました。バザールへ行くたび、ウーランジ(学生です)、インデリム(割引)を笑顔で連呼。カタコトのトルコ語と日本人の愛嬌を振りまいて、値切り交渉も頑張りました。旅行に行くたび、お金がない僕たちは安いAirbnb(民泊サービスアプリ)で狭いベッドに体を折り曲げてぎゅうぎゅうで寝ることもありました。

 あまりにも高かったので気球には乗ることはできなかったけど、カッパドキアの絶景をしっかり目とインスタグラムに焼き付けました。世界一のパラグライディングスポットと名高いFethiyeでは、夢だった人生初のパラグライディングを体験しました。

▲Butterfly Valley, Fethiye, Turkey

▲My first time paragliding! I am flying!

↑Us being squished at Christmas party


 年末年始はイスタンブールへ。友達が財布を盗まれちゃったけど、僕の誕生日、大晦日にみんなと一緒に見た花火とイスタンブールの夜景は一生忘れません。

 時には本気で喧嘩をして口をきかなくなったなんてこともありました。だけどみんなそれぞれ問題や悩みを抱えていて、辛いときにはお互い支え合って助け合いました。そんなこんなで1年というのはあっという間で、みんなの帰国日に空港で見送りをしたときは、今までにないくらい号泣しました。あんなに辛いことはなかなかありません。もうこんなに素晴らしい人には二度と会えないだろう、と死ぬほど泣いて、笑って、人生で間違いなく最高の1年間でした。いまだに、夢みたいで、日本に帰ってきたのが信じられないくらいです。

 留学の理由なんてなんでもいいと思います。「ソト」に出てみましょう。必要なのは、ちょっとした勇気と好奇心だけです。今まで、見たことのない景色を見て、会ったことのない人に会い、やったことのないことをやる。このレポートをみて、「お、ちょっと留学面白そうかも」「留学してみようかな」という気になってくれたら嬉しいです。

 前回の3ヶ月レポートでは主に、
・トルコの基本情報 - 治安・宗教
・大学について - 履修できる授業、インターナショナルな環境
・大学の設備、寮生活
について書きました。気になる方はこちらから飛んでみてください。

ですので、今回は、各所に思い出をちりばめながら、
1.トルコがいかにコスパがいいのか
2.イスラム教についてよくある誤解
について書いていきたいと思います。それではLet's get started!



コスパ最強のトルコ留学

Please check the corresponding boxes for your answer.
まず、該当する項目にチェックをつけてみてください。

☑お金がないけど留学したい人
☑英語を上達させたい人
☑世界中の学生に会いたい人
☑日本人があまりいないところにいきたい人
☑日本と全く違うところにいきたい人
☑たくさん旅行したい人
☑歴史があって面白い所に行きたい人
☑ご飯がおいしい場所に行きたい人

 3つ以上当てはまった人は、「トルコ」の「中東工科大学(METU)」に留学することを強くオススメします。トルコは福大の協定校の中でも、英語圏の半分以下で、英語圏以上のことができてしまう、「コスパ最強」の留学先です。おいしいものを好きなだけ食べて、たくさん旅行した12ヶ月で使ったお金は、なんと80万円いかないくらいです。英語圏であれば倍以上はかかると思います。

 そして何といっても、トルコは留学先としてはかなりマイナーなので、話題性もあります。トルコ語が話せるようになったらかっこいいですよね。帰ってくると、不思議とトルコ人扱いをされます(笑)。特に国のこだわりがなくて、安く、インターナショナルな環境、充実した設備と美しく開放的なキャンパスで英語や専門科目、自己成長に力を入れたい人には最適だと思います。

▲イスケンデル・ケバブ
カットされたパンの上にケバブをのせ、ヨーグルトや溶かしバター、トマトソースをかけて食べる!旨くないわけがない!

▲ピデ
トルコ風のピザ。ピザの原形という説もある。
炒めた挽肉を卵に乗せたり、トマトソースをかけたり。
モチモチの生地とたっぷりの具で、お腹が満たさせる一品。

コスパがなぜ良いか 

 
 もちろん、留学というものはお金には決して代えられない経験ですが、お金は大事な問題。安く楽しく留学ができるのに越したことはありません。

費用

 12ヶ月間で使ったお金はたったの80万円です。基本的には月2万円、旅行・イベントがたくさんある月でも3~4万円で足ります。JASSOの奨学金はもらわなかったのですが、十分に満喫できました。なぜ、こんなにも安いのかというと、単純に物価の違いです。そして、トルコにとっては良くないことなのですが、トルコのお金の価値がここ十年でどんどん下がっています。僕が最初にトルコに行った2019年の3月時点では1リラ=20円くらいでしたが、今は1リラ=12円くらいで、この1年で半分にまで価値が下がっているということを知れば、決して普通ではないことはおわかりいただけると思います。トルコ人は本当に可哀想ですが、僕たち外国人にとっては良いことでしかありません。

 英語圏に留学していた友人と比較すると、イギリス(グラスゴー大学)に行った友人は月16万円使っていました。トルコの7倍から8倍です。かなり大きな違いだと思います。そして経験していることといえば、それほど変わりません。あらゆる学部があり、授業はもちろん英語ですし、世界中から学生が集まる大学なので、むしろ、イギリスやアメリカよりもDiverseな環境だと思います。それがコスパ最強と言われるゆえんです。


▲New year's countdown in Istanbul! We are from everywhere!
(Japan, Colombia, Pakistan, Kyrgyzstan, England, Mexico, Russia, China, Belarus)

▲My boys and girls!

イスラム教についてよくある誤解 Myths and facts about Muslim

僕の友達にこんな質問をしたことがあります。

"What does it mean to be Muslim?"

すると彼らはこう答えました。

"Being a good person, being kind to people and animals and helping people in need"

「もちろん、ムスリムとして教えを守ることも大事だけど、それ以前に人として良い人間であることだよ」と。僕と年もさほど変わらない彼らが、偽善でも何でもなく、自信を持って言い切ったその言葉を、僕は忘れることができません。

 イスラム教といえば、「アッラー」という神様、「クアラーン」と呼ばれる聖書、最後の預言者「ムハンマド」は高校の授業などで覚えている人も多いのではないでしょうか。また「六信五行」といって、厳しい戒律をしっかり守って生きている人達というイメージが強く、私自身も、トルコに行く前は、女性はみなヒジャブと呼ばれる布で髪の毛を隠し、みんながみんな、毎日1日5回お祈りし、豚やお酒は一切食べず、男女の性的な関わりを一切絶っている、「宗教に縛られている人達」と思っていました。しかし、それは大きな間違いでした。世界には、現在、18億人を超えるムスリムが存在しております。全ての人が同じなわけはもちろんありません。メディアのせいで非常にかたよったステレオタイプが広まっているのは事実です。皆さんにも、ぜひ僕が経験したことを通して、こういう人達もいるのか、僕らと普通に変わらず、自由に幸せに生きているんだ、僕らなんかよりもよっぽど幸せに生きているかもしれない、ということを知っていただけたら、幸いです。

↑Inside of a mosque! I miss how beautiful and peaceful mosques are!

Myth #1 すべてのムスリムはアラブと中東にいる all muslim are in Arab or Middle East

 もちろん、大の間違い。一概にイスラム教といっても、世界中に18億人のムスリムが存在します。世界人口の24%にもなります。国、地域、家庭、そして個人の解釈によって、様々なレベルのムスリム(イスラム教信者のこと)が存在します。トルコは、ムスリムが多数を占める国ですが、地域によってかなり信仰度は異なります。イスタンブールやイズミル、アンカラなど都市では比較的リベラルな方が多く、お酒を飲む人もいますし、毎日お祈りをしないという人もたくさんいます。カップルは普通に手をつなぎ、キスをし、性行為をするというものもいます。ヒジャブという布をしない女性ももちろんたくさんいます。人それぞれの選択の自由なのです。自分をAtheist(神様を存在しないと信じる人)と呼ぶ人にもたくさん会いました。日本は、仏教と神道がメインの宗教ですが、信仰している人はかなり少ないでしょう。だからといって、神様の存在を否定する人も少ないでしょう。なんとなく、神様の存在を信じている人が大半だと思います。そういった人のことをAgnostic(不可知論者:神様がいるとも、いないともいえないと考える人達)と言います。当たり前のことですが、それぞれ個人の解釈で、信仰のレベルも変わってくるのです。

Myth #2 イスラムはテロをいつも起こす、暴力的な宗教である

 これももちろん間違いです。この勘違いはバイアスのかかったメディアの報道のせいで非常に多いです。2009年9月11日の同時多発テロ事件も記憶に新しいと思いますし、多くの人がなんとなくイスラム教に対して負のイメージを持っていることが多いです。(islamophobia, イスラム教への憎悪・恐怖と一般的には呼ばれます。)まず、前提として、どの宗教にも、「過激思想」というものが存在します。キリスト教、ユダヤ教、もちろん仏教にも過激思想というものはあります。教えを、過激に解釈して、神の名の元に悪事を平気で働く者達です。どんな理由があれ、人の命を殺めてもいいという教えがあるわけがありません。ユダヤ人の大量虐殺も、キリスト教の反ユダヤ主義が高まった結果起きたものなので、過激思想といえるでしょう。


▲Me holding gun with big Turkish flag!

終わりに

 2020年の秋派遣者は、コロナウイルスという未曾有の事態にかなり振り回されました。留学中断を余儀なくされ、行き所のない悔しさを味わった友人もたくさんいました。そんな中、国際交流センター、福島大学をはじめ、あらゆる方々に支えを頂き、幸いにも途中で中断することなく1年の留学生活を終えることができました。そのことに心からの感謝を示したいです。

いつも僕の心に留めている言葉に
"Appreciate what you currently have"

というものがあります。つまりは、「あなたが今手にしているものは、決して当たり前じゃない、いかに自分が恵まれているのかということを自覚して、感謝しながら生きなさい」という意味です。

 トルコは貧困な国というわけではありませんが、決して先進国ではありません。道ばたで、物乞いをする可哀想な子どもはたくさん見ましたし、少し中心街を外れると、市民戦争でトルコへ逃げてきたシリア難民の人達を多く見かけます。なかには腕や足がない人も多くいました。そのような状況を目の当たりにしたとき、安定した政治体制・福祉制度・経済体制がある日本に生まれ、屋根のある暖かい家があり、心配せずともご飯にありつくことができ、普通に走り回ることができ、きれいな服をきて、家族がみんな元気で、大学で勉強ができている、ということは本当に恵まれたことなのだと、心から実感しました。