福島大学トップ福島大学の国際交流留学体験記 > 【オランダ】日本から約9,000キロ離れたオランダに来てから、約3ヶ月。

留学体験記

【オランダ】日本から約9,000キロ離れたオランダに来てから、約3ヶ月。

【派遣先】ハンザUAS・フローニンゲン大学
【派遣期間】2022年9月~2023年2月
経済経営学類 O.Rさん



最近友人から「オランダで困っていることある?」という質問があった。僕は答えようとしたが、正直何も思いつかなかった。8月末に渡欧した時は全てがカルチャーギャップだったはずであるが、すっかり「在蘭外国人」になってしまったようだ。オランダ語は「Dank u wel(ありがとう)」や「Prost(乾杯)」など、日本の外国人スポーツ選手が言う「アリガトゴザイマス」くらいしか話せないがすっかり板についた。

8月末にアムステルダムスキポール空港に到着した際に、誰もマスクしてないことから始まったカルチャーギャップに苦しんだことが懐かしい。大学があるフローニンゲンは僕調べで欧州トップクラスの治安の良さなのに、最初はリュックを前にしたりしていた自分が幼く感じる。

さて、今回はもうすぐ3ヶ月となる僕の交換留学について簡単に紹介していきたいと思う。内容は過去の先輩方の情報と被らないように、①大学の授業の様子、②異文化体験、③旅行の3つについてお伝えしたい。

大学の様子について


僕は、ハンザUAS・フローニンゲン大学(以下、ハンザ大学)でHealthy Workplacesのコースを専攻している。この授業は留学生コースというわけではなく、正規学生もクラスメートの半分を占めている。授業内容は名前の通り、労働環境についてである。とは言え、座学の時間は全体の3割程度で、その大半はゲスト講義である。残りはプレゼンテーションや、グループワーク、ワークショップと座学中心の一般的な日本の大学とは異なり、実践重視の授業である。

グループワークについて、空気環境や照明効率などより労働者が働きやすい環境を目指して実際に現場介入を行っている。僕のチームは大学の空気環境の改善を目指してプロジェクトを推し進めているところである。現場介入を進めるにあたって、クライアントとの交渉や打ち合わせなどを通して行うため、営業と近しい。

この授業の面白いところは、世界一ワークライフバランスが取れているオランダ(OECDのデータより)と日本の違いを見れることにあると思う。例えば、オランダは労働時間が短く、残業という概念がない。その上、賃金が高い。(福島駅のマクドナルドの時給:900円 フローニンゲンのマクドナルド:€13→約1820円)

述べると長くなるので、以降割愛するが、自身のキャリアを考えるいい機会になると思う。僕自身、帰国後即卒業し、日系企業に就職予定だが、オランダに来てから将来はアウトプット主義の外資企業で勝負してみたいという野心が湧き始めた。

僕はC1プロジェクトや自身でやっていたオンライン英会話などを積み上げてきたので、プライベートの会話はほぼ困っていない。しかし、商談やグループワークではうまく使いこなせず、「お地蔵さん」になることは少なくなかった。段々と自信を失うことがあったが、議論は「正解だけを述べる必要はない」ということに気付いた。それ以降、間違えることを恐れず、考えを少しずつ話せるようになってきた。

最初のクオーターはテストこそなかったが、個人では1500単語の期末レポート2本、毎週のプレゼンテーション、グループのレポート4本などを通して、少しずつ英語ができるようになって来たと思う。

ただ、「留学に行けば自然と英語が伸びる」は幻想なので、授業外の積み上げを怠ってはならないと思う。僕自身、英語の勉強量は渡欧してから増加している。インプットした単語やフレーズを日常で使えた瞬間にやりがいを感じている。

▲授業後の写真

現地生活について


約3ヶ月で麻薬(オランダは合法)以外は一通り異文化体験をしてきたつもりだ。具体的にはDutch Party、他国の学生との交流、クラブ、ハロウィンなど枚挙にいとまがない。最近は福島大学の授業(卒論)が朝5時から始まるので、夜出歩くことはほぼ無くなったが、色々と経験できたことに感謝したい。

詳細を述べると長くなってしまうので割愛するが、共通して言えるのは「日本はこうだった」という考えは捨てることだ。比較する時間は何も生み出さない。ベタかもしれないが、「郷に入っては郷に従え」が大切だ。理不尽なことがあってもすべて受け入れたのちに、日本と比較するのはいいと思う。

僕自身、高速バスでビバレッジを購入しようとクレジットカード決済したものの、商品が出てこず、約600円詐欺に遭うなど経験したが今となっては思い出の一つだ。まず日本では絶対に起きないし、起きたとしたら返金対応が当たり前の社会だった。だが、この出来事を通して日本の労働者の丁寧な対応への感謝の念が芽生えるようになった。


▲Dutch party

▲日韓学生で双方の料理を作った

▲ハロウィンで、キャンディを貰いに来た少年と


旅行について


ヨーロッパは陸続きになっているのでリュックひとつで海外旅行に行けてしまうのが大きな魅力である。僕はこれまでドイツ、ベルギー、イタリア、フランスへ訪れ、今後スコットランド、イングランドに行く予定がある。また、最近まで韓国に旅行していた大家さんの推薦で見た「愛の不時着」を視聴したことでスイスへも行きたいと考えている。

今まで、テレビやインターネット、旅行本で見たヨーロッパの観光地だが、実際に見て良い意味でも悪い意味でもギャップがあったということが率直な感想である。ブリュッセルの世界遺産グラン=プラスやパリのオルセー美術館で見たクロードモネの絵画は強く惹かれた反面、ルーヴル美術館の「モナリザ」は正直、想像以下だった。何より、絵画の前で多くの人がスマホで写真を撮り終えると立ち去る様子に落胆してしまった。とは言え、僕はセーヌ川沿いの景色が大好きで、必ずまた行きたいと思っている。

僕がオランダ国外に行くたびに思うことが格差社会、移民問題である。ブリュッセル中央駅前やミラノ中央駅の周辺は沢山のホームレスやジプシーなどが物乞いやスリをしている。スリに関してはしかるべき対策をすれば問題ないので、恐れる必要はない。ただ、事実として彼らはこれらの行為で何とか生計を立てているようだ。せっかく多民族社会のヨーロッパに来たのだから、残り3ヶ月でもっと学びを深めていきたい。

▲エッフェル塔にて

▲クロード・モネ


僕はこれまでホームシックとは無縁だった。寮に住んでいるわけではないので他の人と比べて一人の時間は多いが、勉強に集中できていると思う。(自衛のために言っておくが、友達がいないわけではない)正直、全然日本に帰りたくない。

ただ「楽しかった」、「貴重な経験だった」では終わらないようにしっかりと結果に拘っていきたい。