福島大学トップ福島大学の国際交流留学体験記 > 【オランダ】オランダから帰国して率直に思った事。

留学体験記

【オランダ】オランダから帰国して率直に思った事。

【派遣先】ハンザUAS・フローニンゲン大学
【派遣期間】2022年9月~2023年2月
経済経営学類 O.Rさん


この半年を振り返ってみると、あっという間で夢のような時間だったなと思います。1度新型コロナウイルスの影響で断念した背景もあって、念願の交換留学でした。まだ、帰国して間もない状態ですがオランダで出会った方々が本当に恋しくて仕方ない状況です。

そもそも、私が交換留学を目指したきっかけは所属するゼミの先輩からたくさん刺激を頂いたこと、オランダを選んだ理由は自身の研究テーマであった交通政策にありました。特にハンザ大学のあるフローニンゲンは「人口の数より自転車が多い」と言われるほど自転車社会であったため、実際に経験するべく選びました。当初はヨーロッパと日本の交通政策について卒業論文を書く予定でしたが、結果として現地で実際に経験したり、インタビュー調査を行う中で想像以上に深く学べたので、自転車社会について書きました。その際に英語を使ってクラスメートや住民の方に聞くことができたので、日本で勉強した成果が手段として生きました。

前置きは長くなりましたが、前回は授業や日常生活、旅行について述べたので、今回は学んだこと、思い出、物価問題や今後交換留学を目指す方々へアドバイスを書かせていただきます。


まずは学んだことについて、

「もっと自由に生きていいこと」です。

ヨーロッパで様々な民族や国籍の方々と出会って、まず最初に思ったことは「日本人ほど人目を気にしている人はいない」ということです。
これは大家さんから聞いた話ですが、欧州がロックダウン中だった時に、外でパーティーやBBQをする人達が沢山いたそうで、周りから何を言われてもあっけらかんとして、堂々と楽しんでいたみたいです。その一方で日本では3年前、パチンコや居酒屋に行く人に犯罪者のような視線を向けて袋叩きにするような報道がされていました。この両者はとても極端であり、決して肯定や否定をするつもりはありませんが、私の言いたいことが最も顕著に現れた例かと思います。

その他にも自撮りをSNSにアップしたり、路上や公共施設でのキスなど日本ではなかなか見ない光景ばかりでした。誰1人として、人目を気にすることなく、堂々と生きている。そんな彼らが羨ましくありました。一般的に欧州では沈黙することや思ったことを口にできないことは有り得ない、そういった文化だから遠慮せずにどんどん自己主張をすることが当たり前でした。

もっと自分の思うがままに生きた方が人生は楽しい。本当にそう思います。


次は1番の思い出についてです。

私が最も好きだった時間はインターナショナルディナーです。名前の通り、参加者の母国料理を互いに調理して卓を囲む。これまで13ヶ国の方々と行いました。私は日本を代表して、肉じゃが、うどん、天ぷら、おでん、唐揚げ等を調理しました。特に韓国の友達が肉じゃがにやみつきになっていたことを昨日のように覚えています。また、イスラム教徒の友達が宗教上の制限を考慮し、工夫して調理したこともありました。その中で宗教について知ることができたことや、食事中に奨学金や戦争、文化の話を沢山して、「ただ楽しかった」では終わらない時間でした。特に日本が太平洋戦争時に支配していた諸外国の友達から、戦争教育について聞けたことは価値ある財産となりました。



▲コロンビア、イタリア、韓国、インドネシア、ベルギーの方々と囲んだディナー



次に物価問題です。

ヨーロッパは共通通貨のユーロがある一方で物価は国によって大きく異なります。
イタリア、スペインは安い一方、オランダは非常に高いため、ビッグマック指数は一概に信用出来ないです。昨今のウクライナとロシアの戦争により、ガス供給不足や兵器提供、難民支援などの影響で日に日に物価が高騰しているかつ、€140円台と8年ぶりの円安でした。正直、奨学金の価値が平常と異なることは非常に辛かったです。話を聞くところ、20228月と233月の家賃は同じ物件でも1ヶ月€100(14,000)異なるなど、今後ハードルが上がることが予想されます。その上、オランダ政府が住宅確保の困難につき、留学生の受入制限を行う声明を発表しているため、今後どうなるかは全く分かりません。


以上の点を踏まえていくつかアドバイスしたいと思います。

オランダ留学を目指すのであれば、なぜオランダなのかを明確にするべきだと思います。私のように自転車社会を知るためといった風変わりな理由でもいいので、信念を持って選んでください。私自身が思うヨーロッパ留学の最大の魅力は、移民社会であるが故に沢山の人種、国籍の方と出会えることにあると思います。

また、授業は本当に辛かったです。
日本と欧州の教育システムは全く異なるので、その対応に苦しむかと思います。ただ、それを経験できるのは交換留学の権利を勝ち取った方のみなので、どうか楽しんでください。私は適応に2ヶ月かかって、それまで辛い思いをしました。ただ、自宅からキャンパスまで8キロあったにもかかわらず皆勤賞で通学できたことで後半は能動的に学ぶことが出来ました。


▲クラスメートとバーに行った写真

結びに、私の交換留学を応援してくださった国際交流センターの皆様、朱先生及び朱ゼミのOBOGの皆様、家族や友人各位に心より感謝いたします。また、円安留学という苦境の中で、互いに支え合えた現地の日本人留学生にも大変お世話になりました。オランダに来たことで優秀な学生に沢山出会えて本当に良かったです。


最後にこれだけは言わせてください。

「世界には素敵な人達で溢れている」

留学に来る前に海外についてよく知らない方からたくさん次のことを言われました。
「差別には気をつけろ」
「外国は怖い」
「ヨーロッパは治安が悪い」
「〇〇は反日国家である」
これらの言葉は間違っているので、聞き流してください。私はこの半年で50ヶ国を超える人たちと交流してきました。具体的な国名の列挙は差し控えますが、外務省から渡航中止勧告や戦争・紛争が起きている国籍の方とも触れ合って、上記の言葉に気づきました。多少、文化や信じるものは違えど、素敵な人達がこの世界にはたくさんいます。

また、日本は世界中から最も愛されている国の1つです。ヨーロッパのどの国、都市に行ってもSushiAnimeのお店はあるし、自動車や電化製品の何かしらは日系企業の製品であることが大半です。ニュース等であまり関係が良くないと報道されてる国もありますが、そんなことはない。みんなアニメが大好きです。アニメに全く興味が無い私より日本の話を楽しそうにしている友達もちらほらいました。これは留学ではなくとも、海外旅行や研修でも学べることだと思います。日本人の最大の強みである世界最強のパスポートを使って、自分の目で確かめてください。国によっては政治的な対立や国交問題で入国できない制限はありますが、大抵はI'm Japaneseと言えばすぐに通してくれます。

1人でも多くの方がこのことに気づくことが世界平和への1歩であると思います。


▲ドイツ ケルンのクリスマスマーケット


▲「ローマの休日」にも出てくる「真実の口」
手は残ってた...