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留学体験記

【トルコ】日本をトビデテ6ヶ月

【派遣先】中東工科大学 【派遣期間】2022年9月~派遣中 
食農学類 K.Hさん

"日本を出て、英語を使って生活し、様々な国から集まる人々と話して、今までに見たことない景色を自分の目で見て、広い視野を持ち、多様な角度から物事を考察できる人になりたい...きっと、そんな経験ができたら私の人生はもっと楽しくワクワクしたモノになるのかな...世界はどれほど広く、未知に満ちあふれているのだろう...?"

そんな風にぼんやり考え、電車に揺られながら高校に登校していた自分をふと思い出した。

でもいつしかその幻想は夢に変わり、夢は目標に変わり、目標は現実になりその現実の中で、あっという間に、月日は流れ半年が経ちました。

9月に日本をトビデテ、文字通り今日まで様々なモノを見て、様々なバックグラウンドを持つ人達と話し、考え、感じ、悩んで、こんなに時間が経ちました。全てを文字に書き写すと長くなりすぎてしまうため、今回はこの場を借りて私が学んだことを4つ共有させていただきたいと思います。

.トルコのイスラム教
.思いやりが繋ぐコミュニケーション
.留学と自己形成
.治安と物価


.【トルコのイスラム教】

イスラム教の国といっても、政治によって宗教と国民が支配されている場合、女性が運転したら、結婚前に男女が付き合ったら罰せられるという国もあるようです。しかしイスラム教を信仰する国の中にも色々あり、簡潔にトルコ自体のイスラム教に関して言うと、政治による宗教ルールの縛りがないため自由度が高いように感じます。"信じ方に多様性がある"といえば伝わりやすいでしょうか。ヒジャブ、一日5回お祈りの有無、飲酒の可否も、ほとんど自分自身で決められます。

ここトルコでは何かを信じないから、何かルールを破ったからといって罰せられることもなく、冷たい目で見られることもありません。トルコ人の友人によると、具現化された信仰方法ではなく、己の中でアッラーを信仰する気持ちが一番大切だそうです。日本だと、見た目や皆が守っているルールは文字にせずともあり、それらが生み出す大勢の雰囲気に飲まれ、従い、行動するのが良しとされる。そんな暗黙の了解がありますから、トルコのように個々の信仰方法を尊重し、それを受け入れる姿勢も素敵だなと思いました。

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▲アヤソフィアと呼ばれる有名なモスク



.【思いやりが繋ぐコミュニケーション】

言語、人種、宗教、育った環境、全て異なる私達はそんな沢山の"違い"を超えて友達になりました。

私達は英語でコミュニケーションをとる。でも、友人の99%は英語が母国語じゃないし、それぞれの国ごとのアクセントもある。普通に上手な英語を話すだけじゃ友達になんてなれない。まして抽象的すぎる言葉を使ってしまっては、自分の正確な気持ちなどは伝わらない。コミュニケーションをとる上で必要なのは、相手を理解しようとする気持ちと、自分の気持ちを相手に伝えとようとする気持ちです。そしてその気持ちがより英語を正確に話したいというモチベーションにも繋がります。

相手、または自分のどちらかが、その意識に欠けてしまったら、コミュニケーションが成立せず、まして友達になるのはとても難しいと思います。ここに来た最初の頃は、英語で自分の気持ちや考えを伝えることや、相手の発現を理解することがとても苦手だった上、話相手のテンションやノリが圧倒的に日本人と異なると感じていました。加えて交換留学生の中に日本人がいない環境であるため、慣れるまで人一倍時間がかかってしまいました

けれど、そんな中でも私はいつも相手のことを理解しようと努めましたし、同時に周りも私の拙い英語を頑張って理解しようとしてくれました。そして、相手が私のことを知ろうとしてくれるから、私ももっともっと相手のことを知りたくなりました。私達は見た目も、人種も宗教も違う。生まれ育った場所も何百キロ何千キロも離れている。全てが異なるはずなのに、英語と相手を思いやる優しい心をもって真摯に向き合うことで、それらが私達を繋げてくれました。私は、今日出会えた友人に感謝したいです。この留学最初の1セメスターは、日本にいる時とは異なる視点から私に"コミュニケーションのあり方"を考えるきっかけ"を与えてくれました。


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▲トルコ、ジョージア、インドネシア、台湾、パキスタンの友人


.【留学と自己形成】

留学する前は、海外での生活への憧れのあまり、日本の良さに気が付かないどころか、「日本はつまらないなぁ。」とさえ思ってしまうことがありましたが、留学してみて日本が素敵な国だということを知りました。日本人の繊細さ、他人のことを気遣える優しさを持つ人々、日本の文化がいかに厳かで、唯一無二の素晴らしいものなのか...ということを改めて発見しました。

確かに周囲からの目を気にしすぎながら生活するという点は、日本人でさえプレッシャーを感じてしまうこともあります。しかし、逆を言えばそのプレッシャーがあるからこそ、日本の治安の良さ、日本人の礼儀の正しさが形成され、結果的に日本は信頼できる国として確立したといっても過言ではありません。

一方で人目を気にせず自由に生きられる海外のスタイルは、個々としての尊厳や自由があり本当に素晴らしいと思います。しかし、時には同時にその自由度の高さ故、仕事が少し雑になってしまうことも多々あるそうです。

結局、大事なのは「何事もバランスなのではないか」と私は考えます。何かの基準を作り上げるとき、その人にとって、その地域によって、必ずそこにちょうど良い塩梅があるはずなのです。若い今、当たり前に囚われず、新しいモノや環境に触れ、様々な善し悪しを体験し、新しい人に出会い、自分の中でそれらを整えることが、"自分なりの好き"や"自分なりの生き方"を形成することに繋がるはずです。それこそが留学の目的の一つなのではないかと私は思います。


.【治安と物価】

こちらのトピックは、この記事を読んで下さっている方の中で、中東工科大学への留学を考えている方に情報を提供させていただきます

治安に関して心配な方は多いかもしれませんが、少なくとも私の生活する大学内は日本並みに安全です。財布やスマホをキャンパス内で落とした友人もいますが全て戻ってきていますし、荷物をおいて席を取っていても盗まれることは基本的にありません。確かに大学の外に出るときはそのようなことはできないので、自分の所有物に気を張る必要がありますが、クズライという中心都市は1人で歩いても全然危険ではありませんので、ある程度スリ等に合わないように気をつけつつ生活すれば問題ないと思います。

また物価は全体的にとても安く、頻繁に外食したり、出かけたりしても全体的にかかるお金は月4万~5万くらいです。ESN(国際交流サークル)の開催してくれる旅行に参加しても1万~2万円くらいなので、もし私のように奨学金+バイト代で留学を考えている方がいればおすすめでしかありません。物価は安く、食べ物は美味しく、世界中から集まる留学生と仲良くなれて、英語の授業を受講でいるので、他のヨーロッパ圏に留学するのと差はないです!私のトルコ留学の先輩も仰っておましたが、トルコ留学はコスパ最強です!

もし留学関連で相談したい方がいらっしゃれば、ぜひ国際交流センターを通してご連絡下さい。沢山の方にサポートしていただいて今の私があるので、微力ながらでもお力になれたら幸いです。

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▲イスタンブール旅行の写真