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留学体験記

【中国】華東師範大学短期語学研修の報告

【派遣先】華東師範大学【派遣期間】2023年9月~10月
食農学類
 H.Sさん


 917日から101日までの15日間に及ぶ中国研修に参加し、現地で多くの貴重な経験を得ることができました。中国での生活や体験は非常に新鮮で驚きに溢れたものでしたが、何よりも、中国における「人との出会い」が私にとって一番の財産になったと感じています。華東師範大学でサポートしてくださった先生や福島県上海事務所の皆さま、企業視察に伺わせていただいたテクノプロ、そして吉城光学の皆さま、日本領事館の職員の方など数えきれない方々との出会いがありました。異国である中国で仕事をされている日本人の方々の姿は非常に格好よく、頼もしさを感じました。今回の中国研修のタイミングは、福島県の処理水放出とそれに伴う中国国内での日本批判と重なり、密かに不安を抱えながらの中国生活のスタートでしたが、日本人の方や現地の中国人の方とお話をしていく中でそのような不安は薄れ、また、実際の中国・上海における日本の評価や扱われ方を知ることで以前とは異なる日中関係への考えを抱くようになりました。上海に限った話かもしれませんが、現地では以外にも日本製品や日本語を多く見かけ、日本のものが抵抗なく受け入れられている印象を受けました。例えば、お店で日本のお菓子やおもちゃが日本語のパッケージで売られていたり、ポケモンやサンリオ、クレヨンしんちゃんやウルトラマンのグッズが普通に売られていました。また、差別に関しては、飲食店でちょっとした嫌がらせが一度あった程度で、想像していたような激しい日本人ヘイトはありませんでした。

 中国の良かったこと、悪かったことを総合してみても、私の中国への好感度は上がったと断言できます。また、上海市民の雰囲気に関しては、日本人とは異なる特徴があり、良い意味で周りの目を気にせず自分の芯を持っている人が多いと感じました。彼らに対する私の偏見として、昭和の日本人のようなイメージを持っていて、逞しさと豪快さがある一方でお金の使い方や暮らしぶりはかなり合理的だという印象を受けました。現地人の車の運転の粗さや雑な接客など、日本人の感覚からして受け入れにくい部分もありましたが、彼らを見ていて勉強になったことが多かったです。

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 本業である学業に関しては、私は不真面目なため授業のある時間しか勉強をせず、なるべく多くの時間を観光や遊びなどに費やしていました。上海ディズニーや外灘などの有名な観光地にも行きましたが、一番楽しかったのは中国の学生や他国の留学生と一緒に行ったカラオケと飲み会でした。私は以前から中国の音楽(マンド・ポップ)が好きで、日本でもそれらの曲をよく聞きカラオケで友達に披露などしていたのですが、大抵はドン引きされて場が冷めるという経験を何度も繰り返していました。しかし、中国のカラオケでは曲の収録数も桁違いで歌える曲のバリエーションが豊富だったことから、日本で歌えなかった歌も満足のいくまで歌え、おまけに皆の受けも良かったという嬉しい体験をすることができました。そして飲み会に関しては、韓国人の留学生グループと遊んでいた時、気づけば上海のコリアンタウンに連れていかれて飲み会が始まるという状況に出くわしましたが、これが意外にも楽しく、中国とはまた違った異文化に触れることができました。チンタオビールやマッコリで杯を交わしたのですが、ハルビンビールという、世界史に出てくるような中国の地名が入ったビールを韓国人留学生と飲み交わした時には、おぼろげながら一瞬、伊藤博文の顔が脳裏に浮かびました。(不謹慎ですみません。)

 本来、中国に留学したのだから中国の人と仲良くなるべきだったのかもしれませんが、中国語を学ぶ他国の留学生との交流は刺激的で、同じ志を持つ者同士ということもあり、うまく打ち解けることができたと感じています。

 観光や遊びにふけっていた一方で、日系企業様の視察や日本領事館の訪問などには真面目に取り組みました。企業視察に伺ったのは、エンジニアの人材派遣を手掛けるテクノプロ様とプリンターの反射鏡の製造を行う吉城光学様であり、両者に共通して印象的だったのは、日本語の非常に流暢な中国人社員の方が多くおられるということでした。その方々に日本語を学んだ経緯を尋ねると、日本のポップカルチャーや文化に興味を持って勉強したという回答を多くいただき、私の中国語を学ぶ理由と共通した部分があったことに嬉しさを覚えました。ビジネスレベルの語学を習得している人に自分を重ねるのは恐れ多いですが、私も彼らのように、好きなことをモチベーションに語学勉強に励みたいと感じました。

 中国で生活していて意識せざるを得なかったこととして、毛沢東と中国共産党、そして愛国の主張の強さが挙げられます。毎日どこへ行っても国旗を目にしますし、大学の中央広場には巨大な毛沢東の立像がそびえ立っています。中国の紙幣の肖像画が全て毛沢東であったり、中国の最高級タバコの銘柄が「毛氏」であったりと、かなりインパクトが大きかったです。滞在していた15日間を振り返ると刺激の強い日々でしたが、私の人生史上最も価値のある期間であったと感じています。