12月に入り、ハンガリーでは雪の降る日が増え始めました。8月末に日本を出発し、カーロリ大学の寮に入ってから3か月と少しが経過しました。時間の流れは速く感じますが、同時に、ここで体験したこと1つ1つが濃密に感じられます。今回の報告書では、留学前の準備で大変だったこと、現地での生活の様子、留学して感じていることについて書いていきます。
留学の準備において一番大変だったことは、必要書類の準備です。具体的には、①福大で交換留学に応募するための書類(留学申請書、希望理由書、承諾書など)、②ビザ申請に必要な書類(ビザ申請用紙、福大・交換先大学両方の留学証明書、銀行残高証明、保険加入証明、入寮証明書など)が必要になります。
特に大変なのは②のビザ申請のための書類準備です。大学関連の書類なら大学の国際センターですぐ連絡が取れますが、ビザに関しては大使館や交換先の大学と連絡を取らなければなりません。そのため、書類の書き方の質問や大使館の訪問日時といったことについて、書類をそろえなければならない期限から逆算して大使館にメールを送る必要があります。
私の場合、そのような認識が甘く、出発前にドタバタする結果になってしまいました。交換留学を目指す方には、余裕をもって書類準備を始めることを強くお勧めします。
現在私は、カーロリ大学の3つの建物で授業を受けています。福島大学とは違ってキャンパスというものがなく、ブダペスト市内の何か所にポツポツと大学の建物があります。私の履修しているのは主に英語の授業で、ハンガリー人学生たちと一緒に英語を学習しています。コミュニケーションを重要視する授業が多く、ハンガリー人の学生とも知り合うことができます。
授業の難易度は履修する授業によって大きく変わります。私の授業は課題があまり多くなく、テストの難易度も高くはありませんが、ルームメイトの日本人は課題、難易度共に難しいクラスを履修しており、悪戦苦闘しています。履修登録する前にメールや口頭で教授に難易度を確認し、自分のレベルに合ったものを履修することをお勧めします。
▲大学の建物の1つ。通称BTK
カーロリ大学には日本語学科があり、学部生はみんな熱心に日本語を勉強しています。ハンガリーでは日本人は少ないため、生の日本人を見ると、このチャンスを逃すまいと積極的に日本語で話しかけてきてくれる現地学生もたくさんいます。そのため、現地で友達を作るにはとてもいい環境であると言えます。実際、私も日本語学科の学生数人と交流を深めており、時折ルームメイトや寮の友達を連れて一緒に出掛けています。授業以外にも、メールを通じていろいろなイベントの通知が来るので、積極的に参加し、親交を広げていくと良いと思います。
▲同じ寮に住む韓国人留学生、日本語学科の学生と一緒に。
ブダペストは、クラシック「美しき青きドナウ」などでテーマにされるドナウ川が中心を走る、ヨーロッパの中でも特に美しいとされる都市のひとつです。ハンガリーに到着して間もないころは、初めての海外ということもあり、日本と全く違う街並みや、迫力あるドナウ川などの、異国の表面的な部分に興味をひかれていましたが、3か月が経過した現在では、町並み・人・文化が交じりあい、相互作用しあって生まれる全体的な雰囲気そのものが好きになっています。
ある国で生活する経験は、独自の観点・価値観を生むものであると思います。私はこれまで日本を出たことがなく、その意味で日本的な観点が絶対的でした。しかし、ここに来たことで、新しい観点が手に入りつつあります。2つの観点が自分の中に在ると、何かを見るとき・考えるときに、見方、考え方が絶対的なものから相対的なものになっていきます。この相対的観点があると、視野と世界が広がり、感性が豊かになるように思います。感性はこれまでと今後の生活に物語性を与え続けてくれます。
「留学前の準備」に書いたように、交換留学の手続きは少し煩雑であり、英語の試験も受ける必要があり、海外に興味があっても、申し込むのが躊躇われるかもしれません。しかし、行くと決めてしまえばやることははっきりします。そうなってしまえば、目前のやるべきことをやるというのは案外苦しいことではありません。
もし海外での生活に興味があるならば、思い切って交換留学の募集に応募してみることをお勧めします。これまでの生活圏と違った観点を得ることは、必ず後の財産になると思います。
▲夜のドナウ川