今年の3月、私は半年ぶりに日本に帰ってきました。空港の案内板一面に見慣れた文字が並んでいるのを見るのが久しぶりで、ああ帰ってきたんだなとしみじみ感じました。現地での半年間は、私の人生の中で最も刺激的でした。
私は、高校時代から英語や海外に興味を持ち始め、いつか外国に行きたいという思いを持っており、今回の留学でその思いを達成し、高校生の自分が想像しなかったことを体験できました。思えば、留学を目指したきっかけは些細なことでした。ある授業で、その内容に興味をもって教授にメールしたことから、人づてにマクマイケル先生という先生の授業について知りました。その授業を履修したことが、留学生と交流をもつことや交換留学を知ることのきっかけとなりました。あのとき一歩踏み出してメールを送って本当に良かったと感じます。
前回の体験記にも書いたことですが、異なる価値観、社会制度を体験できることは留学における大きな魅力です。例えば、ハンガリーには就活がありません。留学中、日本での就活スケジュール動向などがはっきりつかめず焦りを感じた時期がありました。そんな時ハンガリーの大卒者就職事情について聞き、仕事の就き方も働き方も国が変わればがらりと変わるということを実感し、肩の荷が下りた心地がしました。道はスケジュールに則っていい企業に行くことだけではないです(就活が悪いと言いたいわけではありません)。ちなみにハンガリーでは卒業後に職探しをする場合が多いらしく、現地学生は日本の就活システムをうらやましがっていました。
私の留学を語る上で外せないのが日本人ルームメイトのSさんです。彼は学生にしてほぼ思想家として出来上がっていました。膨大な読書量・知識量と深い洞察から放たれる一言はいつも私ともう一人の日本人ルームメイトNを驚かせました。彼からは多種多様の含蓄のある刺激を受けました。ここでSさんに感謝の意を表したいと思います。
ハンガリーに対しては、「やさしい国」という印象を持ちました。治安はヨーロッパの中でも良く、道に捨てられ放題のたばこを除けば、町はいつもきれいで穏やかでした。スーパーでは、店員さんだけでなく、お客さんも「Jó napot(こんにちは)」と笑顔で挨拶していました。日本だと無言のお客さんも多いです。このフレンドリーさは、ハンガリーのどこでも感じられました。また、こういった外向性を持ちながら、ハンガリー人は、人の事を思いやる人も多いように感じました。こうした部分は日本人と似通う部分があります。建物にもやさしい感じを受けました。ブダペストは暖色の壁が多く、石造りの古い建物が主で、日本の都市のような雑多な感じはなく、整然と建物が並ぶ景色が多いです。年を取ったら、ハンガリーで老後を過ごすのもいいなあと考えています。
最後に、留学を志す方へのアドバイスらしきものを書こうと思います。事務的な煩雑さを除けば、留学に対する障壁となるのは英語試験の必須スコアだと思います。私の場合、試験のために東京や仙台に出向かなければならず、交通費と受験費で出費もなかなかの額になりました。無論勉強もしなければならず、易しいものではなかったです。しかし試験を通して得られるものはたくさんあります。目標に向かう努力、英語力、留学への切符...就活では資格としても、ガクチカとしても話せるでしょう。必須スコアをクリアしたら、留学は目前に近づきます。まず思い切って挑戦することをお勧めしたいです。IELTS、TOEFLはスピーキングの項目がある点がTOEICと違います。会話の練習相手として、福島大学の交換留学生と交流してみるのも良いと思います。また、留学に興味があっても、どこから調べたらよいかわからないという方は国際交流センターへ行けば、職員の方が相談のってくれると思います。
「我思う、故に我あり」で有名なデカルトは、「森で迷ったら、一方向を向き、まっすぐに進め」と言っています。不確定要素だらけの状況の中で迷い悩んだ挙句、どうするか決断したなら、もうその方向は変えずに突き進まねばならないということです。なぜならそれが森を抜ける最良の方法だからです。留学すると決めたとしても、その他のことに打ち込むと決めたとしても、まっすぐ進むことが肝心です。
▲アイスランド旅行にて、氷地
▲現地学生のお宅でクッキーづくり(失敗)
▲カーロリ大学によるクリスマス会
▲ハンガリー郊外にて、ハスキー犬を発見
▲ハンガリー郊外にて、みんなで
▲夜のドナウ川
▲ブダペスト夕方の景色