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留学体験記

【ドイツ】ハノーファー大学での研究計画

【派遣先】ハノーファー大学など【派遣期間】2024年8月~2024年9月
経済経営学類
 I.Kさん


 7月に交換留学終了した後、ドイツの滞在を一か月延長し、自分が具体的にどのような分野に関心を持ち、さらに進学する大学がその専攻を研究するにあたってどれほど適しているかを検証するため、交換留学をしたハノーファー大学の研究室を訪問した。その結果、私はハノーファー大学の修士課程「Wirtschaftswissenschaften(経済経営学)」に進学することを決断した。

 交換留学先の大学に進学することにした理由はさまざまあるが、一つ目の大きな理由として、ハノーファー大学は工学系および計算機科学系に強いドイツ工科大学の一つだからである。ハノーファー大学以外に自分の専攻である経済学での世界ランクが高い大学にも出願し、合格することができたが、結果的にはハノーファー大学を選んだ。なぜならハノーファー大学は経済経営学部の中に工学や計算機科学との親和性が高い研究室が多数あるからである。

 私は、修士課程では基本的なミクロ・マクロ経済学だけでなく、データサイエンスやオペレーションズリサーチといった経済経営学と情報学との学際的な分野も勉強したいと思っている。そのため、学部の研究室の一つであるビジネスインフォマティクスの研究室について色々な情報を集め、ハノーファー大学に進学することを決めた。その研究室の核となる研究分野は、ビジネスインフォマティクス、オペレーションズリサーチ、モビリティマネジメント、そしてエネルギーリサーチの4つである。

 ビジネスインフォマティクスとは、企業の人事や監査といったHR分野において、能率性の高いITシステムを開発したり、ビジネス分析および事業計画に特化した人工知能および機械学習システムを開発したりといった、産業界に大きくインパクトを与える研究分野である。オペレーションズリサーチは、数学的シミュレーションと最適化を基に、ロジスティクス、工場経営、空港システムといった実社会の複雑な問題に対して、合理的かつ能率的なソリューションを見出す研究分野である。モビリティマネジメントでは、特に市街地において、環境負荷の一端を担う自家用車の交通量を減らしつつ、不自由のない市内移動ができるような都市開発を研究している。最後のエネルギーリサーチは、特に再生可能エネルギーの経済的能率性を向上させるべく、エネルギープラントの部品開発から、コミュニティまで送電するグリッドの配置といったインフラ計画までを研究の対象としている。

 先にも述べたように、これらは純粋な経済学とはいえない学際的な分野であり、通常の経済学部で研究することは難しいだろう。だが、ハノーファー大学では経済学徒もその領域に踏み込むことができる。さらに良いことに同研究室はさまざまな国の大学と提携を結んでいるため、数か月間、他国の大学で研究をすることも珍しくないそうだ。また博士課程に進む学生も少なくないそうで、キャリアの可能性は多種多様であるといえる。この一ヶ月を通して自分の興味ある研究室を訪れ、最終的に進学する決断をすることができた。10月から新学期が始まるので、また気を引き締めて邁進していきたい。
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▲メインキャンプの目の前にある馬の像。かつてここはハノーファー王の居城だった。

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▲キャンパスと隣接する公園を結ぶ道。10月くらいになると紅葉が始まり一面秋色になる。

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▲滞在していた学生寮。とても国際色豊かで週末や祝日は様々な催しが開かれる。


▲メインキャンパスの隣にある図書館。大学の図書館は複数あり、24時まで開館している図書館もある。

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▲大学最寄り駅の「Leibniz Universität(ライプニッツ大学前)」。ちなみにライプニッツ大学はハノーファーに永住していた、微積分をニュートンと同時期に発見した数学者で哲学者の「ゴットフリート・ライプニッツ」に由来している。