私は、8月3日から23日の間に行われたカナダのマクマスター大学への短期語学研修に参加しました。そこでの3週間は全てが真新しく、他では得られない経験をたくさんすることができました。私がこのプログラムに参加したのは、純粋な海外への好奇心からと自らの英語力の向上のためです。日本から離れ言葉も文化も違うところへ行き、海外を知ることで自分の知見を広げたいという思いがかねてよりあり、また英語のスキルを向上させるには英語圏へ行くのが一番効果的ではないだろうかと考えたため、今回参加することにしました。
プログラムは基本、平日に授業、土日に観光といった形で組まれていました。授業は午前午後それぞれ3時間で、全て英語で行われました。午前中は大学の先生による授業で、カナダの文化についてグループワークを行ってそれをもとにプレゼンをしたり、基本的な文章読解やディスカッションをしたりしました。先生は私たちが聞き取りやすいようはっきり話してくださり、わからない表現が出てくるとそれを察して言い換えて説明してくださりました。スーパーの店員さんや地域の人などと比べると大学の先生の英語はとても理解しやすく、外で観光してみて初めてそれがわかったのですが、日常会話では全体的にカナダの人々の優しさに助けられる場面が多かったです。午後はTAの大学院生による授業で、午前中に出された課題やプレゼンの準備を主に行い、時に映画を見たり、ボードゲームをしたりしました。大学内にTim Hortonsというコーヒーチェーン店があり、授業はそれを飲みながら受けることが多かったです。時間だけでいうと6時間という長丁場の授業でしたが、とても楽しい時間だったのであまり苦に思うことはありませんでした。加えて、週に2度ほど夕方に2時間コミュニケーションをとる授業がありました。グループに分かれて院生と英語で他愛もない会話をしたり、真面目に経済について話し合ったりもしました。院生とだけでなく学生同士でも仲良くなれる時間だったのでとても有意義な時間でした。
土日にはトロント市内やオンタリオ湖周辺の観光に出かけました。トロントCNタワーやMLBの試合観戦など、思い出深い場所はいくつもありますが、なかでも忘れられないのはナイアガラの滝です。クルーズ船で大瀑布の足元まで迫り水しぶきを大量に浴びると、大自然の壮大さを大いに感じられました。また、遊歩道から眺める滝面の凄まじい水の流れは圧巻で、思わず息を呑む美しさです。写真や動画では伝えきれない迫力があるので、実際に自分の目で見に行く価値は大いにあると思います。
3週間の生活の中で大きな障壁だったのは、カナダの物価です。自動販売機での1本の値段が日本円で500円だったときはとても驚きました。ただ、大学内には基本どこにでもウォーターサーバーがあり、マイボトルに水を入れて持ち歩くのが主流だったので、それ以来自動販売機で飲み物を買うことはしませんでした。物価はレストランなどでの外食が特に高く、3000円を超えなければ安く感じるほどで、大学内にある食堂でさえも1000円分を超えてしまうことが多かったです。食事はアメリカンなものが多く、自炊の際に野菜や果物を意識して取らないと栄養バランスが偏ってしまうと感じました。調理器具も限られているため、手軽に食べられて価格も安いバナナを重宝して毎日食べていました。自炊をするうえで大きめのスーパーが徒歩10分位のところにあったので、食材の買い物にはルームメイトと授業終わりや朝に出かけ、不便に思うことはありませんでした。
今回の留学で大変だったのは渡航前の手続きです。航空券の手配や保険の加入など、慣れていない作業を数多く自力でやらなければならなかったので、非常に苦労しました。中でもプログラム費の支払いは渡航前にうまくいかず、日本に帰ってきてからする羽目になり、一番苦労したといっても過言ではありません。また、私にとって海外に一人で行くということ自体が初めてだったので、羽田空港に着いて何をすればよいかがわからず、悪戦苦闘しました。大学全体での渡航日は共通だったので、事前に仲間ともっとコミュニケーションをとって書類や渡航について相談するべきだったと感じています。
この留学で私は、思い切ってやってみることの大切さを学びました。会話の中で最初のころは単語が出て来ず言葉に詰まっていましたが、それでもとりあえず伝えたいことを言葉にして言ってみるということを期間中心掛けて繰り返していました。すると徐々に口から英語が出てくるようになり、最終的には渡航前と比べると随分話したいことが話せるようになったのではないかと思っています。時間がかかっても単語を調べながらでも、文法や発音を気にするより先に自分の言葉で思い切って話そう伝えようとすることが大切なのだと学びました。さらには、この留学でさえも最初は行くか迷っていましたが、思い切って行こうと決心し、結果素晴らしい経験をすることができたので、行ってよかったと強く感じています。迷っていた私の背を押し、留学へ行かせてくれた両親には感謝しかありません。
カナダで過ごした3週間は非常に充実していてとても楽しく、あっという間に過ぎ去りました。この経験は私の中で大きな部分を占めると思います。ルームメイトをはじめ私をサポートしてくれた人達には感謝が尽きません。向こうで得た人とのつながりや様々なものを大切にしていき学びや知見を忘れることなく、これからの生活に生かしていきたいと思います。