今回、私は福島大学卒業後に進学する大学院を決めるために、1/30〜3/4までスペインのバルセロナ、サラゴサ、マドリードに滞在していました。このレポートでは、現地大学の特徴やスペインでの生活について共有したいと思います。
University of Barcelonaはバルセロナ市内に複数キャンパスを持つ大学です。学生数は約63000人で、スペイン国内でもトップレベルの大学です。街中にあるのですが、それぞれのキャンパスが大きく歴史を感じました。私が志望する経済経営系のキャンパスは有名サッカークラブ「FCバルセロナ」の本拠地であるカンプノウの横にあり、落ち着いた雰囲気でした。
(▲経済経営系のキャンパス)
キャンパスはとても大きく周辺には生物系や政治系の建物もあったため、迷子になりましたが現地学生がとても親切だったため無事に辿り着くことができました。国際色豊かななため英語で行われている大学院の授業も多く、多くの学生・スタッフが英語を話すので、スペイン語があまりできなくても進学できると感じました。学費も一年間で約€4920~6600と比較的安かったです。しかし、授業やコースによってはスペイン語やカタルーニャ語(バルセロナなどカタルーニャ州で話されている言語)が必須になるため、自分の専攻コースを確認することをおすすめします。担当者によると、入学するうえで最も重要なものがGPAで3.0以上は必須とのことでした。入試はなく、推薦状や履歴書、志願理由書やビデオレターなどの必要書類の提出で選考するので、準備も比較的簡単だと感じました。
University of Zaragozaはバルセロナとマドリードの中間地点のサラゴサという都市にあります。生徒数は36000人ほどの大きな大学で、サラゴサ内に5つとウエスカ、テルエルにもキャンパスがあります。学生課や経済学部の担当者など10人ほどと話しましたが、英語話者はそのうちの2名だけでした。しかし教職員全員がとても親切で話しやすかったです。初めて話す相手でも、とても親身になってくれる方々でした。経済経営系の大学院での授業はほとんどがスペイン語で行われるため、高いスペイン語力が必要だそうです。マーケティングのMaster degreeは1単位€30.40なので1年間60単位の取得には€1824必要とのことでした。また、サラゴサはマドリードやバルセロナよりも物価が安く、小さい町なので移動が楽でした。小さい町といっても発展していて見どころはたくさんありました。特に中世の教会が多くあり、歴史を感じました。福島大学と学部間協定を結んでいるので、大学院進学の前に大学の雰囲気を感じたい方やスペインの生活をしてみたい方は学部時代のサラゴサ大学への交換留学をお勧めします。
(▲サラゴサ大学の教室。経済学部は街の中心にありました。)
(▲キャンパス近くにある世界遺産「聖母ピラール教会」)
Universidad de Complutense Madrid(UCM)は、スペイン最大級の大学の一つであり、マドリード市内に広大なキャンパスを持っています。学生数は約86,000人と非常に多く、多様な学問分野を提供しています。経済経営系の大学院も充実しています。
UCMの特徴として、学費が年間約€2,000~3,500と比較的安価であることが挙げられます。しかし、大学院の授業の大半はスペイン語で行われるため、高いスペイン語能力が求められます。英語で提供されるプログラムもありますが、選択肢は限られているため、スペイン語力の向上が必要だと感じました。道に迷ったときに現地学生に尋ねたり、逆に話しかけられたりすることがありましたが、どの学生も英語が流暢でとても親切でした。また、キャンパスは非常に広大で移動には時間がかかることもありますが、公共交通機関が充実しているため大きな問題にはなりませんでした。キャンパスはマドリード市内に点在していますが、経済学用のキャンパス内専用のバスも走っていました。スーパーやマクドナルドなどもあったのでとても過ごしやすそうでした。
(▲経済学部棟内部。経済学部の建物だけでも大きいものが3つほどありました。)
Universidad Autónoma de Madrid(UAM)は、マドリード郊外に位置する大学で、自然に囲まれた広大なキャンパスが特徴です。特に経済学部とビジネススクールはスペイン国内で高く評価されているそうです。複数の担当者や大学スタッフと会話しましたが、どのスタッフもスペイン語のみの対応だったので少し大変でした。UAMでは英語で提供される大学院プログラムもありますが、やはりスペイン語での授業が中心です。マドリードの中心からは電車で40分~1時間ほどで、キャンパス内に駅がありました。
(▲キャンパス内の建物)
・住居について
スペインでの住居は、都市や地域によって大きく異なります。バルセロナやマドリードの中心部では家賃が高めですが、ルームシェアが一般的であり、€300~600程度で部屋を借りることができます。サラゴサのような地方都市では、より安価に住むことが可能です。スペインの一般的な住居は「ピソ(Piso)」と呼ばれるアパートタイプの集合住宅です。建物の外観は歴史的なデザインのものが多かったです。内装は広めのリビングルームとコンパクトなキッチン、タイル張りの床が特徴的で、家具付きの物件も多くあります。特に、学生向けのピソはルームシェアが一般的で、複数人でキッチンやリビングを共用するスタイルが主流です。しかし日本の住居と比べて壁が非常に薄く、隣室や上階の音が響きやすいという問題があります。スペインの人々は夜遅くまで活動することが多いため、近隣の話し声や音楽が気になることもあります。そのため、住む場所を選ぶ際には、防音性を確認したり、静かなエリアを選ぶことが重要だと感じました。
・交通手段について
スペイン国内の移動は鉄道(Renfe)やバスが主流です。長距離移動には高速鉄道(AVE)が便利ですが、料金は€30~100程度とやや高めです。一方、都市内の交通は地下鉄やバスが発達しており、定期券利用が安かったです。スペインのバス・鉄道は距離に関係なく一律で同じ値段のため、観光利用なら回数券がおすすめです。バルセロナでは10回券(距離関係なし)が約€12でした。一日乗り放題券や一回乗車券などもあるので用途に合わせて駅の券売機(英語対応)で買えます。マドリードには3週間ほど滞在したため1か月乗り放題の定期券を購入しました。値段は約€10でした。作り方も簡単で駅の担当オフィスに事前予約をして行き、パスポートを見せて写真を撮るだけでした。
・生活費について
ヨーロッパやアメリカと比べてスペインでの生活費は安いと感じました。バルセロナは世界中から人が集まる都市であるため家賃などはルームシェアが一般的で€300~600ほどですが、食費や交通費はとても安かったです。例えばスーパーマーケットではすでに調理済みの料理が€6~9ほどで販売されており、特に外食などをしなければ一か月の食費を€100ほどに抑えることも可能だと思います。少し高いですが日本食もスーパーマーケットで€10~15で売られていました。外食する場合でも、多くのレストランにはランチメニューがあり€10~15ほどだったのでヨーロッパの中ではかなり安いと思います。
・言語について
バルセロナやマドリードなどの大都市の中心部は多くの外国人観光客が訪れるため、英語でも問題ありませんが中心部から離れたレストランやスーパーマーケットなどでは英語が話されていないので、レジ精算や注文時に使うスペイン語は最低限覚える必要があります。また、国内の移動は鉄道やバスが主ですが乗務員が英語を話さない場合が多いので注意が必要です。しかしスペイン語の単語や文法は英語に似ていて、発音は日本語に似ているので日本人にとっては学びやすい言語のように感じました。
・国民性について
陽気な国民性なのでスペイン語があまり話せなくても理解しようとしてくれます。ローカルなバーやレストランに入るとあまり外国人がいないので隣の席の人やお店の人が積極的に話しかけてくれました。私が滞在したAirbnbのオーナーやホステルのスタッフも英語を話せませんでしたが、スペイン語やおすすめのレストランなどを教えてくれました。また、生活のスピードはとてもゆっくりしていると感じました。昼休憩の時間でも同僚とテラス席でビールを飲んでいたり、平日の夜でも仕事終わりにレストランやバーでゆっくりしている人を多く見かけました。夕方の公園を散歩していると家族や友人とピクニックをしている人を多く見かけました。懸命に働くというよりは日々の生活を楽しみながら働いているように感じました。ちなみにスーパーマーケットやレストランなどの多くの店は日曜日が定休日なので少し不便でした。
(▲平日の夕方の公園)
〇最後に
今回の大学院見学を通じて、それぞれの大学の特徴や環境を実際に体験することができました。特にUniversity of Barcelonaは英語のプログラムが充実しており、学費の面でも比較的手頃だったため、進学先として魅力的に感じました。一方で、スペイン語の習得が進学の大きな鍵になることを改めて認識しました。
また、スペインでの生活費はヨーロッパの他の国と比較して安価であり、学生にとっては非常に住みやすい環境だと感じました。特に食費や交通費を抑えることで、十分にリーズナブルな生活が可能です。
本レポートが今後スペインでの進学を考える学生の参考になれば幸いです。