今回、カナダでの海外研修という貴重な企画に参加し、様々な経験を得ることができた。ここではカナダに訪れたときの第一印象と現地教師による授業を受けて気づいたこと、及び生活する中で気づいたことを報告する。
まず、カナダに来て一番印象的だったのは、多様な人種が共存していることである。ヨーロッパ系の民族以外にインド系、アフリカ系、東アジア系といった人種の人々が同じ言語を話している様子に新鮮さを感じた。また、飲食店、観光施設、小売店、空港施設などで勤務している職員がヒジャブ、ターバンなどの宗教衣装を身にまとって勤務している様子にも驚いた。そして、カナダには移民によって持ち込まれた多様な文化が存在していることを強く認識できた。
カナダで生活をしている間の2週間は、英語ネイティブの教師による授業を受け、10分間のプレゼンテーションの発表、及びカナダの歴史、一般教養について多く学びを得ることができた。現地の授業で話す英語と日本での英語の授業では、英語を話す速さが違っており、授業を受け始めたばかりのタイミングでは英語での説明に慣れていなかったこともあり、授業の内容をすぐに理解することが困難であった。しかし、1週間程授業を受けるにつれて、単語の意味をすべて理解できなくても、前後の流れから何の話題を説明していて、どのようなことを授業内で進めていくのかを徐々に理解できるようになった。この経験から、すべての単語を覚えていなくても、その場の雰囲気である程度話している内容を理解できるということに気づいた。英語を理解するには、ただ単語を覚えるのではなく、流れである程度意味を把握することが、意思疎通するうえで役に立つと感じた。
カナダで短期的に生活していく中で、インド系、ヨーロッパ系、アフリカ系、アジア系の話す英語にそれぞれ独特な訛りが存在し、アメリカ英語のリスニングばかりしてきた自分にとって衝撃的だった。よく聞いてみると英語を話していることに気づくものの、アメリカ英語ではない、独特なイントネーションのために、元々リスニング力が高くなかった自分にとっては、何を話しているのかを瞬時に理解することが難しく、コミュニケーションを取ることに苦労した。ときに、英語を話しているのかさえ分からなくなるほど難易度が高いと感じた。
この研修では、日本とカナダのサービスの違いも実感した。日本の場合、コンビニやレストランに行った際、店員からは基本的に丁重にサービスを受ける場合がほとんどである。一方で、カナダでは、友人のような話し方で接する場合や、スマートフォンをいじりながらのサービス、自身のおやつを食べながらのサービスを受けることが多く、日本とカナダ両国の接客に対する文化の違いを感じることができた。食事も日本とは大きく異なり、ファーストフードや、多国籍料理が身近であり、日常的に食べられていることが分かった。日本では和食が日常的に食べられ、味付けも現地に合わせられていることが多いが、多くの移民がいるカナダでは、出身地で食べられていた味付けが主流であることに気づいた。
カナダでは、大麻が合法なこともあり、気軽に大麻の店に寄ることができる環境に驚愕した。日本をはじめとするアジア諸国では大麻の使用に対して厳しく刑罰が降りることが当たり前だったが、必ずしもそうでないという事実を知るとともに、日本のような安全な環境は法律、マナーあってこそのものだということが分かった。一見綺麗に見える街並みでも、路地裏や小さな公園にはホームレス生活者が数多く存在しており、トロント市内の影の部分を垣間見ることができた。ショッピングモールの周辺などにも多く存在し、必ずしも現地の人々が質の良い生活を享受できているとは限らないのだということを直接感じた出来事であった。
カナダでの生活ではマイナスな部分も存在したが、現地の人々の温かさも感じることができた。道を聞いた際に道案内だけでなく、電車の乗り方、バスの乗り方などを丁寧に教えていただけたことや、機内でカナダ人と会話した際に英語を上手く話せなくても意味をくみ取って会話していただいた。人との距離感が比較的近く、適度にプライベートのことに関しても会話し、カナダ人の生活や人となりを知ることができた。
この2週間の研修で、今まで当たり前だと考えていたことが、実は当たり前ではなかったということを改めて気づかされた。現地の方に親切に対応していただいたこと、生活の光と影の部分を知れたこと、現地の人と会話を通して聞いた生活の実態、異なる国の人との意思疎通の仕方など、日本にいたときに得た情報だけでは体験できなかったことを、直接味わうことができ大変有益な時間だった。この経験をもとに視野を広げ、今後も積極的に自分の興味のあるものに触れていきたいと思えるようになれた研修であった。