

2024年の9月から2025年の6月までの約1年間の交換留学を終え、先月スペインから日本に帰国しました。留学前にあれほど心配していたホームシックになることもなく、あっという間に2セメスターが終わり1年間の交換留学を終えました。思い返せば、バレンシア地区の洪水被害やスペイン・ポルトガル・フランス南東部の大規模停電など、過去スペインでも類をみない出来事が起こりましたが、その度にスペイン人の心の温かさに触れることができたと感じます。
今回は、前回のレポート後の3月から帰国の6月までの約4カ月間の出来事や、生活、振り返りなどについて書こうと思います。留学に行くか悩んでいる方や、これから留学に行く方の少しでも参考になったら嬉しいです。
サラゴサでのお花見祭り
4月に、アラゴン日本文化協会が主催する「お花見祭り」に参加しました。アラゴン日本文化協会は2004年に設立され、日本の芸術や文化、生活様式を発信するとともに、アラゴンと日本の交流の場を広げています。サラゴサの街には着物をレンタルできるお店があったり、市内で最も有名なParque Grandeには日本庭園があったりと、日本から遠く離れた場所でありながらも、日本の心を感じることができました。
10月に開催されたピラール祭でお花見祭りの主催者の方とご縁があったこともあり、この日は浴衣を着て参加しました。会場には多くのスペイン人が訪れ、ラジオ体操を一緒にしたり、太鼓や踊りの演武を楽しんだりと、和やかな雰囲気に包まれていました。また、このイベントにスペインの在日本大使館の方を含め、スペインに住む多くの日本人が参加しており、交流を通してお話をすることができました。就職活動の時期と重なっていたこともあり、自分の将来に悩む中で、アドバイスを頂けたことはとても良い経験になりました。
スペインのイースター
クリスマスがヨーロッパにおける重要な行事であることは日本でも広く知られていますが、4月にあるイースター(復活祭)も同様に、学校や会社が休みになるなど、人々にとって大切なイベントです。国や大学によって期間は異なりますが、サラゴサ大学では、約2週間の休暇がありました。スペインではこの時期を「セマナ・サンタ(聖週間)」と呼ばれ、イースター当日を含め、その週は様々な宗教的な儀式や行列で祝います。スペインならではの風習が、下の写真にある「プロセシオン」と呼ばれる宗教行列です。色とりどりの大きな三角頭巾を被った人々が街を歩きます。日本ではイースターと言えば、卵やウサギなど可愛らしいイメージが強かったために、この厳かな雰囲気にはとても驚かされました。鼓笛隊の演奏と共に、夜の12時近くまで続く行列は非常に荘厳で圧倒されるような経験でした。
サラゴサ大学の魅力と留意点
サラゴサ大学の魅力は、全22学部を有し、講義がスペイン語と英語の両方で開講されていることにより、留学生の国籍が非常に多様であるところ、そして留学生向けのイベントが充実しているところです。ほぼ毎日、安価で参加できるイベントが開催されており、スペイン国内の旅行なども企画されています。
私が受講していた英語開講の講義では、主にヨーロッパ圏からの留学生が多く、前回のレポートでも少し触れたように、日本人は私ひとりで、アジアからの留学生も後期の講義に一人だけという状況でした。一方、イベントに参加してみると、スペイン語で開講されている科目には南アメリカからの留学生が多いという印象を受けました。このように講義の中だけでなく、講義外でも世界中から集まった留学生と交流できることはサラゴサ大学の大きな魅力だと考えます。
ひとつ留意すべき点として、サラゴサ大学にはスペイン語を学ぶための正式な授業は用意されてないということがあります。例えば、福島大学では留学生向けに初級日本語などの日本語学習科目が開講されていますが、サラゴサ大学では、大学が推奨するスペイン語講座は、単位認定の対象外であり、また、その期間や形態に応じて料金を支払う必要があります。スペイン語を学ぶ目的のため、講義もスペイン語しか話すことができないと聞いています。そのため、初級であっても基本的なスペイン語力が求められます。私はこれまでスペイン語を学んだ経験がなく、留学してから本格的に学ぶことを考えていたため、留学当初ギャップがありました。スペイン語の授業を受けても受けなくても来る前からきちんと準備をする必要があると思いました。
就職活動
私は経済経営学類の学習案内の単位認定に基づいて、休学せずに留学をすることを希望していたため、スペイン滞在中に就職活動を行う必要がありました。留学前には福島大学のキャリアセンターに相談し、「出発前に自己分析や企業研究をしっかり行っておくと良い」とのアドバイスを受け、準備を進めたつもりでした。しかし、いざ本格的に就職活動を始めてみると、自分の準備が不十分だったと痛感しました。サラゴサでは周囲に、本格的に就職活動をしている日本人がおらず、ひとりで取り組む必要がありました。特に、「自分は何のために留学しているのか」と改めて考え直したときに、自分の中の軸がぶれてしまい、不安を感じることもありました。こうした自分の軸を確立するためにも、留学前に徹底的な自己分析をしておくことが非常に重要だと実感しました。また、スペインと日本の間には通常8時間、サマータイム時は7時間の時差があるため、電話がつながりにくかったり、電波の悪さで面接が途切れてしまうなど、想定外のトラブルも起こりがちです。そうした不安や問題が生じた際には、その都度キャリアセンターの方に相談することを心がけていました。
必要だと感じたもの
①スリ対策用品(カラビナ、南京錠、スマホショルダー):
サラゴサではスリの話はあまり聞きませんが、バルセロナやマドリードを含むスペイン、さらにはヨーロッパ全体ではスリが非常に多いです。被害に遭わないためにも、事前の対策が何より重要です。
②調味料(本だし、鶏がらスープの素など):
醤油や味噌などの基本的な調味料はアジアンスーパーで手に入りますが、本だしや鶏がらスープの素などは見かけませんでした。自炊をする場合や日本の味を再現したい場合は持参をおすすめします。
③薬:
普段あまり体調を崩さないので、最小限しか持っていきませんでした。実際に寝込むことはなかったものの、万が一のときの安心材料として、使い慣れた薬を持っていくと良いと思います。
④ボールペン:
スペインの大学では試験をボールペンで受けます。現地でも購入できますが、1本500円程度と高く、日本製の方が安くて書きやすいです。数本持参することをおすすめします。
⑤絆創膏:
こちらもスペインでも購入できますが、価格が高めです。かさばるものではないので、余裕があれば多めに持っていくと安心です。
留学を通して
到着したばかりの頃は、自分が本当に10カ月という長い機関、海外で勉強し、交換留学をやり遂げられるのか不安でした。大学やシェアアパートなど周りには日本人はおろかアジア人もおらず、考え方や生活様式の違いに戸惑うこともありました。そんな中でも、この交換留学を無事に終えることができたことは、自分にとって大きな自信となりました。
初めは長いと感じていた交換留学も、毎日が学びと刺激に満ちており、これまでにないほど充実した日々を過ごすことができました。交換留学と並行して就職活動を行う中で、大変なこともたくさんありましたが、改めて自分自身を見つめ直し、多様な価値観に触れることで、視野を大きく広げることができたと考えます。
最後に、C1での英語学習をはじめ、不安なことがあった際には国際交流センターの皆さんに様々な面で支えていただき、大変お世話になりました。本当にありがとうございました。
最後までレポートを読んでくださりありがとうございました。