女性の起業促進を目的に、福島県女性経営者プラザ(FJP)が毎年実施している「女子学生懸賞作文」で、メーサーロシュ・フルジナさん(ハンガリー出身)が国際賞を受賞しました。フルジナさんは、2017年9月より交換留学生として福島大学の人間発達文化学類に1年間在籍し、今年9月に帰国。今回の作文のテーマは「私は女性経営者になって、こんな"しごと"をやってみたい!」。再び福島に戻って活躍するという目標を描いた作文が評価されたことを、非常に喜んでいました。
他のすべての子供のように、私は「君が大人になったら、何の仕事をやりたい」とか「どんな人になりたい」という大変な質問をいつも聞かれていました。そして、他のすべての子供のように、私も自分の将来に関していつも色々な夢を持っていました。しかし歳月が流れ、子供がティーンエージャー、そして大人になると、多くの人が子供の時に持っていた夢とは別の道を進んでいきます。それは決して悪い意味ではありません。人は、世界が広がり、さまざまな機会と接することによって、変わっていくのが普通だからです。私もそうでした。
私は、平成29年に初めて来日しました。そのとき私は21歳でした。日本では9月から1年間、福島大学で交換留学生として学びました。日本に留学する前の2年間、私はハンガリーのカーロリ・ガーシュパール大学の日本学科で、日本語や日本の歴史を学んでいました。留学する前は、交換留学生が終わったらハンガリーに戻り、大学を卒業した後もハンガリーにいるつもりでした。しかし、1年間、福島で生活したことによって、私は自分自身について、もっと知りようになり、将来の夢も変わっていきました。
今、私は、来年ハンガリーの大学を卒業したら福島大学の大学院に入学したいと思っています。言語がもともと好きで、日本語をもっと勉強したいという気持ちもありますし、そして日本語と一緒に始めたロシア語も続けたいと思っています。福島県で生活していたときには、日本人とだけではなく世界の色々な国から来た人々と出会い、日本語だけではなくて、英語を使う機会もたくさんありました。それらの経験を経て、通訳という仕事にとても興味を持ち始めました。日本に行くまでは、通訳の仕事なんて自分にはとても無理だと思っていたのですが、日本で暮らし色々な国の人と出会うことで、通訳の魅力に取りつかれてしまったのです。私は、できれば日本で通訳者になりたいと思っています。外国人にとって日本で仕事をすることは簡単ではないと思います。でも、日本人のように頑張れば、そして、みんなのために、何をやりたいという気持ちを持ち続ければ、きっと前に進めると信じています。
私は、将来、福島県のためにも活動したいと思っています。平成23年3月11日に世界中が日本で起こったマグネチュード9.1の地震と原発被災が起こったニュースを聞きました。そして、そのあとの7年、福島原発についてポジティブなことを聞くこともありませんでした。私も福島へ留学する前、その地域に関して具体的な知識がなかったので、福島へ行くことに不安を感じていました。福島大学の留学生になる前、災害が起こった地域の復興がどうなっているのか、津波がどんな被害をおよぼしたのか知りませんでした。しかし、留学後、福島大学のおかげで、Fukushima Ambassador Programという計画に参加できました。東日本大震災について色々な話が聞け、原発や、飯舘町や浪江町や富岡町などにも行け、ボランティア活動に参加することもできました。だからハンガリーに戻った今は、その1年間で、少しだけど理解できたことをハンガリー人に伝えたいと思っています。その上で、日本に戻れたら、福島県の災害地方で復興のためにもっとボランティア活動をしたいです。今は、この夢を実現するために、頑張りたいと思っています。
夢の実現は、長い時間がかかり、困難があるかもしれません。まずは、夢の実現に向けての第一歩として、今年、日本語能力試験のN2のレベルに合格しないといけません。そして、福島大学の大学院生になれるように、ハンガリーの大学を卒業し、そして留学費用もためなければなりません。
今までは言語を中心に勉強していましたが、福島大学の大学院に入れたら、国際関係と経済を学びたいと思っています。国際関係の科目には昔から興味がありましたし、様々な国から来た人々と出会える仕事にとても魅力を感じています。私は福島で初めて国際交流イベントMeetupに参加しました。毎月このイベントに参加し、世界中の友達もできましたし、さまざまな言語で語り合う機会も持てました。来年もFukushima Ambassador ProgramやMeetupのようなイベントに参加してみたいです。
そして将来的には、これらの経験を生かして国際交流、ボランティア、通訳業務に携わる会社を興したいです。そして、経営者として、日本に来たばかりの私のような若者に、自分を変えるチャンスを与えたいと思っています。そのためにも、今は、もっと勉強したい、ボランティアしたい、手伝いたい、そして通訳したい!
Mészáros Fruzsina(メーサーロシュ・フルジナ)