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留学体験記

【ドイツ】ドイツという国

【派遣先】ルール大学ボーフム 【留学期間】2016年4月~2017年3月
現代教養コース H.Mさん

 2016年4月~2017年3月までの1年間、福島大学の交換留学制度を使って、ドイツのルール大学ボーフムに行ってきました。私は主に、留学生用に用意してあるDaFというドイツ語クラスや、音声学・中世の歴史・ドイツ語学などの講義に参加しました。また、「江戸時代の料理」をテーマとした日本語学科のゼミナールにも参加させていただき、料理物語という江戸時代の料理について書かれている本を現代文に直し、そこからドイツ語に翻訳するというお手伝いをさせていただきました。

 留学前、私は大学で2年間ドイツ語を勉強していました。海外に行くのは初めてではなかったですが、長期で行くのは初めてだったので、期待と不安が入り混じっていました。実際にドイツに着いて、いざドイツ語を話そうと思っても、自分の言いたいことは言えますが、発音が悪いためかまったく伝わりませんでした。やっとのことで伝わったと思ったら、今度はドイツ語が早くて半分ほどしか理解できませんでした。留学前、大学で行われていた留学フェアであんなにもリスニングがとても重要と聞いておきながらも、聞き取れない自分にとても焦りが襲いました。話せても相手の言っていることが理解できないと、話なんて進まない!という思い、このままでは授業に出ても何もできない、と実感し毎日勉強しては声に出して発音する日々が続きました。

 ドイツには幸いにも「タンデム」という外国語の学習システムが浸透しています。タンデムとは、お互いの母国語を教え合うというものです。私の行っていた大学には日本語学科があり、タンデムパートナーはすぐに見つけることができました。私はセメスター6人ずつタンデムパートナーがおり、授業が少ない木曜日は2回タンデム、それ以外の平日は毎日1人ずつタンデムをしておドイツ語で会話するという場を自ら作りました。やはり、リスニングや話す能力というものは実際に自分で使っていかなければいけないと考えていたのでこのような方法をとりました。それが私にはあっていて、どんどんみんなの喋っているドイツ語がわかるようになっていきました。夜、家に帰ってからは授業の復習・予習。そのあとにタンデムの最中にパートナーから直してもらったドイツ語の確認。その後、新しい文法や単語を勉強。というような毎日を過ごしていました。私のたどたどしいドイツ語でも、パートナーたちはしっかり聞いてアドバイスをしてくれ、本当に助かりました。

▲タンデムパートナーと餃子作り

 また、普段は日本語学科のみんなと交流することが多かったのですが運よく物理学部の友達とも仲良くなることができ、友達の誕生日パーティや放課後に物理の友達の家に誘われて一緒に過ごすことも多くありました。日本語学科のみんなはもちろん、日本について興味があるのではなしもそれとなく出てきました。しかし、物理学部の友達とはもちろん最初は日本について質問されるものの、次回以降は政治の話や物理についての話、授業の話などになってきます。最初は全然政治や物理についての専門用語も分からないものが多かったので、話に入ることができませんでしたが、ここで持ち前の負けず嫌いが発動し、ドイツ語で政治や宇宙について話せるようになる!と決心し、時間がある日は政治や宇宙についての記事をニュースなどで観るようにしていきました。少しずつではありますが、理解していくことができるようになりました。しかし、相手は物理を専門に勉強している学生です。私のちょっとした意見では、何倍もの答えが返ってきます。負けず嫌いなところもありますが、この学部の友達と出会えたことで、物理について彼らから学ぶことがたくさんあるんだ。という視点に変えて、楽しくドイツ語で会話をすることができました。

 私はドイツでキッチン・シャワー・トイレが共同の寮に住んでいました。私はドイツ語を日常生活でどんどん使っていこうと考えていたので、寮生には進んでドイツ語で話しかけていました。しかしそこで私の前に待ち受けていたのは、「英語」です。私の寮に住んでいるほとんどの学生が大学院生で、彼らはドイツではない国から来ていました。大学院では英語の授業が十分に整えられていて、彼らにはあまりドイツ語が必要ではなかったようです。もちろんドイツ留学ではドイツ語だけではなく、英語も勉強したいと思っていたので英語で話せる良い機会にも恵まれました。しかし、ドイツで留学するにあたってドイツ語はとても大切な言語だと私は思います。ドイツではほとんどの人が英語を話せますが、高齢者はあまり話さない人が多かったように感じます。また小さい子どもたちも英語をあまり話しません。私は子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまでの人とお話ししたいと考えていたので、ドイツ語と英語が使えるこの国に、留学することができて本当に良かったです。

 休みの日にはよく友達と散歩に行ったり、ショッピングをしたりすることが多かったです。また、ゼメスターチケットをもらえることができるので、時間がたくさんあるときには少し遠出をしてドイツの自然を思いっきり堪能しました。日本とは違く、ドイツで暮らしていたときは時間が進むのがゆっくりなように感じました。これもドイツ人の国民性なのでしょうか。休日には外で散歩をしている人が多くいました。家族ずれやカップル、子どもたち、おじいちゃんおばあちゃんなどが同じ空間で休日を楽しんでいる姿はなぜかとてもほっこりしました。日本ではあまり大きな公園もなく、散歩をする時間をとれるという人も少ないのではないかなと思います。ドイツ人のオンとオフの切り替えにはとても素晴らしいものがあると思います。働くときは働く、休む時はしっかり休む。よく、日本人は働きすぎといわれますが、すこしドイツを見習って休息を取るべきではないかなと感じました。

 この留学で学んだこと、出会った人たちは数えきることができません。大学生のうちに1年間という長い期間で、ドイツという国に留学できたことを心から嬉しく思います。今の私の夢は、ドイツの空港で働くことです。そこではドイツ語・英語・日本語を場面に応じて使い分け、ドイツに来る人にはドイツを楽しんでもらえるようにサービスを提供し、日本へ行く人には日本を名一杯楽しんでもらえるようにお見送りをしたいと考えています。最初は、不安と期待がありましたが、今は未来に期待しかありません。自分がやらなければ何も進まないということが分かったからです。これからもドイツ語と英語の勉強を継続し、将来はたくさんの国の人と日本を繋ぐことができたら、と考えています。


▲ドイツ鉱山博物館 オリエンテーションの際に、見学できる

▲長期休暇に訪れたベルリンにあるブランデンブルク門

▲大学主催のハロウィンパーティ

▲留学先ボーフムのクリスマスマーケット

▲帰国の日