福島大学トップ福島大学の国際交流留学体験記 > 【フィリピン】フィリピン研修について

留学体験記

【フィリピン】フィリピン研修について

【派遣先】アテネオ・デ・マニラ大学 【留学期間】2018年2月~2018年3月
経済経営学類 T.Yさん

 私は今年の2月から3月にかけてフィリピンにあるアテネオ・デ・マニラ大学において短期語学研修に参加してきた。フィリピンでの五週間は体験したことのないことばかりで戸惑いも多少あったが、多くの経験ができ、とても有意義であったと感じている。一般的に留学の候補にあまり入らない国ではあるが、フィリピンでの留学の意義を伝えられるように、ここでは私が五週間で体験したことを勉強面、生活面、そして交友関係について記述していこうと思う。

勉強面について

 私たちは大学内にあるAteneo language learning center(通称:ALLC)で月曜から木曜まで毎日90分4コマの授業を受けた。授業はスピーキングとリスニング、ライティングとリーディングに分かれており、それぞれ担当の先生も分かれており、分かりやすい授業を受けることができた。また、研修の最初と最後に自分の実力を測るテストも実施され、自分が五週間で身に付けたことを分かりやすく実感することができた。

 私は中級のクラスで同じ時期にいた日本人の学生ほとんどと授業を受けた。そこには外国人がインドネシア人のシスターが一人しかおらず、ほとんど日本の学校のようであったので、積極的に英語を使う姿勢が求められた。授業の内容はそこまで高度なものではなかったが、先生はもちろん英語しか使わないので時々聴きとれないこともあり、自分の実力に気づくことができた。ほとんどの授業が自分で考え、発表するというもので、日本の大学ではできないほど毎日英語漬けの日々を送れたことは自分にとって大きな糧となったと思う。

生活面について

 フィリピンで生活をして一番驚いたことは何といっても物価の安さだと思う。二百円あればおなか一杯になるような安さで、金銭感覚が狂うときもしばしばであった。食事に関しては、味が濃かったり脂っこかったりして馴染むことに時間がかかったが、アジアの料理を体験する良い機会であったと思う。

 宿泊先は大学の寮であった。4人部屋でエアコンや冷蔵庫がなく不便な点もあったが、共同生活を通して学ぶことも多くなった。ルームメイトは他大学の日本人であったが四人で協力して生活ができたと思う。時には現地の大学生や寮にいるガードマンに助けてもらうなど、フィリピン人の優しさを実感することができた。

 また、フィリピンの治安について不安な点もあったが、大学の周辺は富裕層が多い地域だったので比較的に安全であった。スーパーやショッピングモールの入り口には必ず警備員が配置されており、バッグの中身を確認されるなどかなりセキュリティがしっかりしていた。大学の各門にも同様であり、大学構内はかなり安全であると感じた。しかし、観光地など、一歩外に出ればホームレスの人や物乞いの人などもおり、発展途上国であるということを実感した。

 週末は3日間休みがあるので観光にも行くことができた。マニラ市内は歴史的遺産も多く、観光客で溢れかえっていた。市内は想像以上に発展しており、多くのショッピングモールがあった。特に印象的だったのは、東南アジアで発展したというグラブというカーシェアリングサービスである。タクシーでは料金が異常に取られる時があることや、バスや電車は治安が不安なところもあったので私たちはこのサービスを多く利用した。これはフィリピンの友人に教えてもらったことで、大変便利であった。他にも、ジープニーやトライシクルといったフィリピンの大衆向けの交通も利用でき、大変貴重な体験だった。

交友関係について

 今回の研修では大分大学と協力して実施した。全く土地柄の違う人と初めて会うことで不安なことも多かったが、彼らはとても優しく接してくれ、切磋琢磨して研修を乗り越えることができた。今でも連絡を取り合う中であり、大切な交友関係を築くことができた。また、アテネオ大学の学生とも多くの交流ができた。大学内には日本文化に興味があるサークルである「HINOMOTO」というサークルがあり、そこのイベントに参加するなどして日本文化を教えたり、ご飯に連れて行ってもらったりした。寮の中でも交友関係を広げることができ、フィリピンの現地の人にしか分からない自然豊かな観光地にも連れて行ってもらい、貴重な体験ができた。買い物でも何がおいしいか、こっちのほうが安いからとかも親切に教えてもらい、より有意義に生活ができたと感じた。異国の地で友人の大切さを実感できたと思う。

最後に

 私にとってフィリピンは初めてのアジアであり、感じることが多くあった。もちろんこの研修は英語力の向上が目的であったが、その他にも大切なことが学べたと思う。フィリピンは今著しく発展を遂げており、都市部はかなり発展していた。しかし一歩外へ踏み出すと貧困地帯が広がっており、この格差を埋める方法は無いのかと考えることもできた。アテネオの学生は裕福な学生ばかりで学内には迎えに来た高級車がごった返していたが、これはほんの一握りの人々であり、一般的な人々は私たち日本人学生のアルバイト代の時給の一時間分を一週間で稼ぐというほどであるそうだ。しかし、彼らは裕福では決してないかもしれないが、その働く姿ははつらつとしており、歌いながらや雑談をしながら働いている姿を見て、日本の過労死問題やパワハラ問題とは程遠い環境を感じた。

 特に印象に残っている言葉がある。アテネオの学生がフィリピン人を表すとき、「hospitality」という言葉がぴったりだと言った。確かにその通りだと思う。彼らは私たちが右も左も分からない中でいつも親切に接してくれた。宿題を手伝ってくれたり、買い物に連れてってくれたりするなど本当に感動してばかりであった。どうして会って間もない私たちにこんなに親切にできるのだろうと疑問に思うほどであった。

 フィリピンの生活を通して、私は本当の豊かさとは何なのだろうと考えた。お金や地位があることではなく、友人や愛情が多いことが本当の豊かさなのではないかと思った。日本人はいつも何かに追われるように時間を忙しく使い、時には心を病んでしまう人も少なくない。この経験をきっかけとして、私は将来もっと多くの国を訪れ、比較し、少しでも多くの人が幸せに暮らせる世界を作る手助けができる仕事をしたいと強く思った。

 最後になったが、この貴重な経験をバックアップしていただいた国際交流センターの皆さん、大分大学の皆さん、アテネオ・デ・マニラ大学、そして両親に感謝をしたい。そして、このレポートを読んで少しでもこの研修に興味を持ってもらえれば幸いである。