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【ドイツ】留学6か月レポート

【派遣先】ルール大学ボーフム 【留学期間】2019年3月~派遣中
経済学研究科3年 鈴木 美智

 

 渡独してから6か月が経過しました。今回は留学4か月から6か月までの期間について報告します。すでに社会人(現在休職中)でもある私にとって、ドイツ文化に直接ふれながら学生生活に打ち込める状況は、日頃の喧騒から離れ自身の考えを深めることができるとても有意義な時間です。そのような貴重な時間には限りがあることを認識しつつ、有効に活用しなければいけないと思う日々が続いています。

 

ドイツ農業(フィールドワークを通して)について

 ドイツはヨーロッパでも指折りの農業大国です。農業生産額は隣国フランスと並んでEU諸国の中で最上位にあり、農産物の輸出入額は全世界の中でトップクラスにあります。北部の大半は平地ですが、中・南部は山間地が多くあります。
 大学のあるノルトライン・ヴェストファーレン州はドイツ西部の平地に位置します。ルール工業地帯という特殊な地域ではありますが、もちろん農業も盛んに営まれています。周辺の農業状況をみてみると、都市部を除いた地域では大きな畑が広がり麦やトウモロコシが作付けされています。見渡すかぎりの牧草地では牛や馬が放たれ、一部地域ではハム・ソーセージ用の豚が飼われています。
 大学が夏休みの間に穀物類の刈り取りが終わり、各地で収穫祭が催されていました。この穀物類はドイツの主食であるずっしり重い黒パン(ライ麦パン)の原料となるほか、牛や豚などの畜産・酪農飼料、さらには再生可能エネルギーのバイオ燃料として用いられます。
 ドイツ西部では夏場の平均気温が25度前後で湿気が少ないため、涼しく爽やかに過ごすことができます。加えて、大規模な畑作や畜産が行われていますので、日本でいうところの北海道の農業そのものだと感じます。中山間地が多く家族経営が主流である私の地元の農業は、このような大規模農業に生産面ではたち打ちできません。しかし、農地の集約化や営農形式についてドイツの良い点を学べそうです。
 また、ドイツではBio食品(有機栽培食品)が浸透してきています。これは、特定の農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術を使わない、自然の恵みあふれる食品のことで、一般の食品より価格が高く設定されています。それにもかかわらず、環境や健康に気をつかうドイツ人は、あえてBio食品を選択するほど広く受け入れられています。私がフィールドワークで時々訪れている州都デュッセルドルフ近郊の農家も、野菜栽培、畜産などでBioを追求した経営を行っています。

 
▲ドイツのBio野菜
(一般の野菜より価格が少し高めに設定されています)

▲ドイツの収穫祭(農場祭)

授業について

 7月中旬に夏セメスター分の授業は終了となりました。講義形式の授業は最終週に試験がありました。セミナー形式の授業は試験の代わりに夏休み期間に論文を作成し提出するという課題がでました。渡独3か月時点と比べて、私のドイツ語能力は読む・聴く・書く・話すという各分野においていくらかの進歩が見られるものの、まだまだ先生方や友人の手助けが必要な状況です。残りの留学期間も語学学習に最大限の努力をしていくつもりです。
 私の学術アドバイザーの先生が日本の歴史(主に江戸時代)を研究しているため、夏セメスターでは先生の授業に参加させてもらいました。15人程度のドイツの学生と共に学びましたが、この授業に限らずドイツの学生はよく授業の途中で手を挙げて発言しています。しかも、自己の主張をしながら相手の意見も尊重しています。日本の大学であれば受け身の授業が連想されますので、ドイツの授業の活発さは見習うべきだと思いました。
 ドイツにおいて歴史を学んだ(私にとっては客観的に学びなおした)ため、ドイツと日本の両国の歴史に親しみが湧きました。ドイツが近代国家となった少しあとに、日本が明治維新により近代国家として歩み始め、法学や医学の分野でドイツをお手本としました。そして、両国とも戦争(敗戦)という不幸な一時期を経てきたこと、その後に国内産業を育て経済成長を成し遂げてきたことなど、共通していることが多くあると感じました。国民性が真面目で、ベートーヴェンの音楽をこよなく愛しているところも似ているかもしれません。


▲生誕地の ドイツ ボン に建つベートーヴェン像(頭の上にいるのは鳥です)

▲ドイツ ボン の醸造所で造られるビール「ボンシュ」

 

 生活について

 ドイツの水道水は日本と同じくそのまま飲むことができます。ただし、日本の水が軟水であるのに対し、ドイツの水は硬水です。お腹が弱い人はミネラル分が多い硬水は控えたほうがよいそうですが、毎日使用している私の場合は今のところ体に異変はありません。ミネラルウォーターや炭酸水は近くのスーパーに山積みされていますので、水道に不都合があっても安心です。
 硬水のメリットとして実感できるのは、パスタを茹でる際にモッチリ感(コシ)がでることです。日本にいた頃より料理の腕が上がったのかと錯覚します。また、ドイツでは豚肉をはじめとする販売肉の切り身が厚く大きいです。これらを豪快に煮込むのには硬水が適していると言われています。
 逆に硬水のデメリットとしては髪を洗うとゴワゴワになる点です。ドイツではお風呂といえばシャワーが主流ですが、入浴後にゴワつく髪を整えるのが日課になります。そして、日本から持参した洗濯用洗剤も泡立ちが悪くなかなか溶けません。やはり、ドイツの硬水にはドイツの洗剤が一番威力を発揮します。
 なお、余談になりますが、日本の軟水の特徴についても触れておきたいと思います。日本には和食に代表されるようにダシの文化があります。食材からダシを取るには、旨味が溶けやすい軟水が向いています。さらに、軟水は髪や肌に優しく、胃腸が弱い小さなお子様が飲む場合にも安心できます。
 ドイツの洗濯についても日本の風習とは異なることがあります。天気のよい日は洗濯物をベランダや外庭に干したくなりますが、ドイツでは屋根裏や地下室に干します。代わりにドイツ住宅のベランダや外庭には赤色や白色、ピンク色といった花々がきれいに飾られ、道行く人の目を楽しませてくれます。景観を重視するヨーロッパの風潮なのかもしれません。
 水回りの最後はドイツのトイレについて報告します。日本のウォシュレットに慣れてしまっていた私にとっては、ウォシュレットが無かった時代に逆戻りした感覚です。そのような温水洗浄機能はドイツにはありません。また、外でトイレを探した場合、基本的に有料(0.5~1ユーロ程度)です。トイレが無料なのは大学、空港、一部の市役所、大きなホテル、親切な飲食店ぐらいですので、街歩きの際は常に小銭を用意しておかなければいけません。


▲窓際に飾られた花々(道行く人の目を楽しませてくれます)

 

おわりに

 留学期間も折り返しとなり、前半の反省と後半の目標を再確認してみます。
 前半の反省ですが、ドイツへ到着して間もなかったということもあり、現地の習慣に対応することや、各種手続きに追われた印象があります。大学の授業も課題をこなすのが精いっぱいで、積極性に欠けていた部分があります。
 後半の目標ですが、前半の反省をふまえるのはもちろんのこと、現地事情もわかってきて心に余裕ができたので、今以上にドイツでしかできない経験をしていこうと思います。そして、学んだことを日本に持ち帰りいかに地元産業に活かせるか、原発事故の終わりなき風評被害対策へつなげられるか考えていきたいです。