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留学体験記

【スロベニア】第2の故郷スロベニア

【派遣先】リュブリャナ大学 【留学期間】2019年10月~2020年3月
人間発達文化学類 K.Aさん

 

 スロベニアに行ってから早くも半年が経とうとしています。

 束の間の冬休みが終わり、2月中旬より春学期が始まりました。今回は残念ながら新型肺炎の影響で3月下旬に帰国となってしまいましたが、本稿ではそれまでのスロベニアでの生活の様子とスロベニアでの思い出をご紹介したいと思います。交換留学を考えている方、スロベニアに興味を持っている方の少しでも参考になりましたら幸いです。

住居の選択

 以前のレポートでもお話ししたように、私はあるスロベニア人家族の家の3階を間借りして、フラットメイトのイギリス人2人と3人暮らしをしていました。

 多くの方は留学すると寮に入ると思いますが、スロベニアは最近とても人気で留学生の人数が爆発的に増え、寮に入れない人がほとんどでした。私はギリギリに部屋を決めたので最初は不安でいっぱいでしたが、ルームメイトと大家さんに恵まれ最後まで楽しく生活することができました。シェアをしている人数が少ないので比較的クリーンな環境で暮らせたり、プライベートの空間・時間が確保されていたりしたので、ストレスを溜めることなく暮らすことができていました。これらはルームシェアをしている最大のメリットだと思います。一方寮に住むメリットとして、一つの建物にたくさんの人が住んでいるためいろいろな交流がうまれるということ、ルームシェアをするより安い金額で滞在できるということが挙げられます。留学中の滞在先は慣れるまでは自分がリラックスできる唯一の場所になると思います。よく考えて決めることをお勧めします。

試験について

 1月の第3週から1カ月間、izpitと呼ばれるテスト期間がありました。私は履修していた4つの講義で期末試験や課題が課されました。リュブリャナ大学では各教科3回ずつ試験を受けるチャンスが受けられるというユニークな制度があります。お金を払えばそれ以上受けることも可能なようです。私は幸運にもすべての試験を1度で合格することができましたが、その制度があるおかげであまり気負わずに試験に臨むことができました。

教師を目指す人必見!現地の学校での実習プログラム

 スロベニアには学校訪問の機会が与えられる制度があり、学校とマッチングすると現地の学校(幼稚園、小学校、中学校のいずれか)に行き、子どもたちと遊んだり授業をしたりすることができます。私も応募し、Kranjという町の小学校で9歳から12歳の子どもを対象に日本や福島についての授業をする予定がありました。今回は行くことができなくなってしまいましたが、教育に興味がある方・学びたい方、子どもたちと交流したい方にはとてもおすすめのプログラムです。

スロベニア語の魅力

 私は冬学期からスロベニア語の授業を履修しています。週1回、授業はすべてスロベニア語で行われています。学生は10人くらいで、ヨーロッパ出身の人がほとんどです。

 スロベニア語は、スロベニア人(約200万人)しか使用していない言語です。しかしスロベニア語を習得することで、クロアチア語、セルビア語、ベラルーシ語など、スラブ語族の言語も少し理解することができます。

 いろんな人に「なぜスロベニア語を学ぶの?」とよく聞かれますが、私の一番のモチベーションはスロベニア人の友達です。周りの友達が一生懸命日本語を勉強してくれているのがとても嬉しくて、私もスロベニア語で友達と話したり会話を理解したりしたいと思い勉強を始めました。物の性別や格による語尾の変化など、日本語にも英語にもない言語のルールに苦戦していますが、周りの友達がサポートしてくれているので楽しく学ぶことができています。音がとてもきれいで、学んでいく毎にますますスロベニア語の魅力に惹きつけられています。日本で使う機会がないのが少し寂しいですが、今後もオンライン授業を受けながら勉強を継続していきたいと思います。

 ここで少しだけスロベニア語を紹介します。これを覚えていけば現地の人と仲良くなれると思います!旅行の際にぜひ使ってみてください^^

・こんにちは 「Dober dan(ドーベル ダン)」
・ありがとう 「Hvala(フバラ)」
・ごめんなさい 「Oprostite(オプロスティーテ)」
・乾杯!/Bless you 「Nazdravje!(ナズドラウイェ)」
・さようなら 「Adijo!/ Čiao! (アディオ/チャオ)」

 

留学で学んだこと、言語習得について

 半年間の留学で学んだことは、語学力にとらわれすぎないということです。よく「英語はひとつのツールでしかない」という言葉を耳にします。確かに、単語や文法の練習は言語習得のためにとても大切なことです。ですが、何よりも大切なことは何事にも挑戦しようとする姿勢だと思います。

 上で述べた通り、私はスロベニアに行ってからスロベニア語を学び始めました。スロベニア語で進む授業、スピードが速く半分以上ついていけなかったこともあります。全く理解できず、悔しくて泣きながら友達と一緒に勉強したこともあります。何人もの学生がドロップアウトしていき、心が折れそうになったこともありました。それでも、ふいにスロベニア語で話しかけられてしっかり答えられたときや、近所のおじさんと世間話をスロベニア語ですることができたときは本当にうれしくて、何にも代えがたい瞬間でした。

英語(もしくは他言語)が苦手だから、話せないから、留学や国際交流イベントに参加しないというのはとてももったいないことです。何事にもチャレンジして、視野を広げ様々なことを経験することが学びにつながるのだと思います。

コロナウイルスにおける影響

 今回は今流行しているコロナウイルスの影響により、帰国を余儀なくされました。なかなかない事例ですが、帰国までのスロベニアでのコロナウイルス対策や、アジア人の見られ方について少し触れたいと思います。スロベニアはイタリアと国境を接しており、近いところだと約1時間でイタリアへ行くことができます。そのようなこともあり、ヴェネツィアのカーニバルが中止になった時は少し危機感を感じました。その後感染者は瞬く間に急増し、すぐに大学の休講が決定。一週間後に空港が閉まることとなり、高レベルのロックダウン状態となりました。

 当時中国や韓国、日本での感染が広がっていたため、ヨーロッパ各国ではアジア人の差別被害が深刻化していました。スロベニアの人たちは温厚でアジア文化に興味がある人が多いためかそのようなことは一切なく、安心して過ごすことができました。

 スロベニアの状況はだんだん良くなっており、つい先日いくつかの制限が解除されたところです。日本でもいま、深刻な状況に陥っています。早く状況が回復し、元の生活に戻れるようにできるかぎり協力していきたいと思います。

スロベニアでの思い出

クリスマス

 ヨーロッパでは11月末から各都市でクリスマスマーケットが開かれます。リュブリャナでも11月末からクリスマスマーケットが開かれ、そのオープニングセレモニーに友達と参加してきました。点灯式の日はたくさんの人がリュブリャナのセンターに来て、ライトアップの様子を見届けました。リュブリャナのクリスマスマーケットは他の国と比べると小規模ですが、イルミネーションがとてもきれいで素敵な雰囲気に包まれていました。点灯式の後は友達の家族の集まりに混ぜてもらって一緒にお酒を飲みました。またいつか、クリスマスシーズンにリュブリャナを訪れたいと思います。

スロベニアのカーニバル「Pust」

 2月になるとヨーロッパでは各国々でカーニバルが行われます。このカーニバルは、冬の終わりと春の訪れを告げるもので、ハロウィンの時のように多くの人が様々なコスチュームに身を包み参加します。スロベニアでは「Pust(プスト)」と呼ばれるカーニバルが2月末に行われ、私も友達と一緒に参加してきました。

 なかでも一番面白かったのは、kurentと呼ばれる春の妖精です。腰に大きなベルをつけていて、街の中を走り回ります。またリュブリャナのカーニバルでは、街のシンボルにもなっている大きなドラゴンが有名です。実はこのドラゴン、友だちが小学生の時に作成に携わったそうです。

 そしてこのカーニバルの名物のkrofと呼ばれるおおきなドーナツも食べました。中にはマーマレードジャムが入っていて、一個でお腹いっぱいになりました。

留学生とのパーティー

 ルームメイト伝いでたくさんの留学生と友達になることができました。テスト明けや誰かの誕生日はもちろん、何もない週末も集まってよく一緒にご飯を食べたりパーティーをしたりしました。国籍も年齢もそれぞれですが、ドライブに行ったりリュブリャナを一緒に探検したり、とても楽しい時間を過ごすことができました。急遽空港が閉まることになりきちんとお別れできなかったことは心残りですが、状況が良くなったらそれぞれの国で会う約束をしたので、それを楽しみに頑張りたいと思います。

福島大学に来てくれていた留学生との再会

 留学中、たくさんの留学生と会いました。久しぶりに会って一緒にいろいろなところに観光に行き、一緒に楽しい時間を過ごすことができました。今回は叶いませんでしたが、今度みんなの国に遊びに行きたいと思っています。また会うのがとても楽しみです!
 スロベニアに遊びに来てくれたみんなと入った場所を紹介します。

▲ボヒニ湖(bohinjsko jezero)

▲ブレッド湖(bledjansko jezero)

▲シュコツィアン洞窟(škocjanska jama)

▲トリグラウ国立公園サヴィツァ(waterfall savica)

▲ポストイナ洞窟(postojnska jama)

▲アイスホッケーの試合



 今回は途中で帰国しなければいけなくなってしまいましたが、今すぐスロベニアに帰りたい!と思うくらい、とても充実した留学生活になりました。これは全て、スロベニア人の友達はもちろんスロベニアに留学に来る人もみんな素敵な人ばかりだったからだと思います。本当に周りの環境に恵まれた半年間でした。福島大学にくる留学生は、よく、「福島の人はみんな優しくて素敵なところだね」といってくれます。私も福島が大好きですが、優しくて安全で自然が豊かで私をあたたかく迎え入れてくれたスロベニアも同じくらいとっても大好きです。日本人の98%が訪れない国スロベニア、みなさんもぜひ2%の日本人になってみませんか?

*Instagramで「#sLOVEnia #ifeelsLOVEnia」と調べるとスロベニアの広大な自然や素敵な観光地を見ることができます。ぜひ検索してみてください!

*スロベニアの自然 https://youtu.be/QuTfeHM0Uk4
*スロベニアとは? https://youtu.be/qkgIOZ2rbfs
*スロベニア語とは? https://youtu.be/gZPOJ_yBo_I